文科省は医師不足解消のため2019年度までの8年間医学部入学定員の増加を認めると発表した。確かに医師不足が問題にはなっているが、この文科省の対策は誤りだ。現状を改革することなく医師不足を解消するのであれば増員が必要だ。しかし入学定員増員策では時間的にも人数面でも間に合わない。医師不足の原因の一つは、勤務医と開業医の処遇格差だ。勤務医は過酷な労働条件を強いられるが、開業医は労働面でも所得面でも税制面でも優遇されているため、医師は都市部に集中し田舎は無医村化しやすい。一つは社会保険診療報酬制度が出来高払いのシステムであることだ。診療報酬が量で決まるため不要な医療行為が増えることになる。一つは医療行為が医師のみに集中し過ぎていることだ。医療従事者といえば、医師を筆頭に薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士等々数多くの専門職種があるが、何から何まで医師が見なければならないようなシステムになっている。初めに医師が指示を与えたら、その後の同じ措置は専門職に任す事が出来るシステムにするだけで医師の仕事量は大幅に減るはずだ。医師が書類作成などの事務をしているところすらあるのが現状だ。医師と専門職との職域を再検討する必要がある。そもそも医療システムの改革は厚労省のメインの仕事のはずだ。小宮山には難しすぎて取り組むことの出来かねる課題かもしれないが、大臣にしてもらった以上職責を全うするため挑戦すべきだ。文科省の医学部定員増員は、底の抜けたバケツに水を注ぐようなものに見える。
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