放射能に汚染された浄水場や下水処理場の汚泥や焼却灰が、処分先が見つからず約12万トンも溜まっている。早急に国が処分先を確保すべきだ。日本で発生する年間200万トン超の下水汚泥のうち、8割近くがリサイクルされ、大半はセメントやレンガなどの材料に活用されてきた。しかし下水汚泥は建材原料としては割高で競争力は弱かった。そこで新たなリサイクル手段として国交省が掲げてきたのが下水道の「循環のみち」構想だ。汚泥や下水道そのものをエネルギー資源ととらえ、再利用する循環型システムを構築しようというもの。神戸にその見本がある。阪神・淡路大震災後神戸市は、下水処理場をネットワーク化しフレキシブルな体制を整備した。更に汚泥発酵を利用したメタンガス精製設備を導入。そのメタンガスをガスで走る自動車に供給するだけでなく、全国で初めて市内の都市ガスへの供給を始めた。今回のように汚泥が放射性セシウムを含有していても、ガスであれば途中で放射性セシウムを分離できるのでリサイクルの有効性は変わらないメリットがある。更にリン成分を多く含む下水汚泥は、東北のような農業が盛んな地域では肥料の原料になる。炭化すればペレットとして、火力発電所などの燃料としても利用可能だ。夏場に冷たく、冬場に温かい下水管の熱は、熱交換器やヒートポンプを介在させれば冷暖房にも活用できる。国交省が本腰を入れ復興事業に取り込めば、東北地方は稼げる下水道事業のモデル地区になる可能性がある。是非とも実現してほしい。
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