福島原発事故調査・検証委員会は「事故及び被害の原因を究明するための調査検証を行い、被害の拡大防止及び同種事故の再発防止等に関する政策提言を行うことを目的」として、2011年5月24日の閣議決定によりスタートした。委員長は失敗学の提唱者畑村洋太郎教授。失敗学とは、失敗の原因究明を行い、同じ過ちをしないよう失敗防止をはかり、得られた知識を社会に広め他でも似たような失敗を起こさないように知識を広める学問のことだ。ところが畑村教授自身が失敗の実践者になりそうな気配だ。第一の失敗は、この委員会には原子力関係の専門家がいないことだ。原発事故の原因を調べるのに原発専門家がいないのでは真の原因追究は出来ないだろう。第二の失敗は、活動期間が極めて長いことだ。今年12月をメドに中間報告、来年夏までに最終報告とのこと。現在日本の原発はほとんど停止状態で、福島原発事故の原因解析と再発防止がまとまらないと、再稼働が見込めない状況だ。来年夏まで全ての原発が止まると、日本経済は失速するし企業の海外移転により国内は空洞化してしまう恐れがある。少なくとも今秋までに最終報告を終えないようだと、失敗学が日本を殺してしまうことになりかねない。畑村教授は、大失敗を実践する前に今何が大切かを鳥瞰的に再考する必要があると思う。
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