国連食糧農業機関の世界重要農業資産システム(GIAHS)国際フォーラムで、石川県・能登半島の「能登の里山里海」と、新潟県佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」が、世界農業遺産に登録されることが決まった。GIAHSとは、地域環境を生かした伝統的農法や生物多様性が守られた土地利用システムを世界に残す目的で2002年に創設された認定制度。これまでペルーの古代ジャガイモ農法、チリのチロエ農業、中国の水田養魚害虫駆除、フィリピンの棚田、チュニジア、アルジェリア、タンザニア、モロッコの8件が認定されている。「能登の里山里海」は千枚田など伝統的な農村文化の保存や持続的な農業生産の取り組みと伝統的な海女漁。「トキと共生する佐渡の里山」は08年から始まったトキの放鳥を契機に餌場作りを念頭に置いた減農薬栽培。今回の世界農業遺産登録により、伝統農業の保全はもとより農村過疎化の歯止めへの契機になるとよい。地元の人達も故郷の価値に目覚めることだろう。また、単なる観光ツアーに留まらず農業体験を取り入れたアグリツーリズムなどで魅力をアピールし、地に足の着いた知的で品性のある地方活性化を達成してほしいと願う。
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