5月31日は世界禁煙デー。WHOが制定した禁煙を推進するための記念日だ。日本では、5月31日から6月6日までの1週間が禁煙週間となっている。1995年時点で世界の喫煙者は10億1千万人であり、約5人に1人の割合となっている。毎年世界で300万人が喫煙が原因とみられる癌や心臓病で亡くなっている。自分は二十歳前後から吸い始め三十八歳で禁煙した。ヘビースモーカーというよりはチェインスモーカーで、ショートホープを1日60本吸っていた。自分の禁煙動機は親への仕送り金の捻出であり、禁煙成功すれば母親の健康が回復すると願をかけたので、禁煙破りは母親の短命化に繋がるためどんなに苦しくとも吸うわけにはいかなかった。そのお蔭で禁煙初期の苦しみを何とか乗り切った。それ以来今日まで1本も吸っていない。今では僅かでも煙を吸うと胸が苦しくなるので喫煙者からは遠ざかるようにしている。日本では最近タバコが値上がりし喫煙者が多少減少したようであるが、受動喫煙の影響が問題視されている。禁煙願望の喫煙者は中西準子「環境リスク学:日本評論社」を読むとよい。中西氏は産業技術総合研究所・安全科学研究部門長で昨年の文化功労者であり、リスク学の権威だ。環境リスクについては、いたずらに危険性を騒ぎ立てるのではなく、リスクの程度を可能な限り定量的に評価・比較し、それをもとに合理的な対策をとるべきであると主張している。種類の違うリスクを「損失余命」という尺度で統一的に評価することで、リスクの大小の比較を可能にした。その研究成果の一つとして、この本に「日本における化学物質のリスクランキング」が載っている。損失余命が大きいほどリスクが大きいことを意味する。1)喫煙・全死因(損失余命:数年から十数年)2)喫煙・肺癌(370日)3)受動喫煙・虚血性心疾患(120)4)ディーゼル粒子(14)5)受動喫煙・肺癌(12)6)ラドン(10)7)ホルムアルデヒド(4)8)ダイオキシン類(1)。なんとタバコはダイオキシンよりも数百倍から数千倍もリスクが高いということだ。喫煙者はタバコにより得られる効果とリスクを比較してみるべきだ。「わかっちゃいるけど止められない」などと、決してタバコの奴隷にはなってはならない。
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