トランプ・ゼレンスキー会談は激しい言い合いで物別れに終わり、全世界に衝撃を与えている。米国はトランプを是とし、欧州はゼレンスキーを支持している。日本ではジャイアンに立ち向かったツネオとして、ゼレンスキーを称賛している声が大きい。トランプはゼレンスキーを助けると言うよりも、プーチン側に立っているかのように映る。ゼレンスキーは国内資源を差し出し、米国の安全保証を得ようとしているようだ。ゼレンスキーは戦争継続のため米国の更なる援助を求めている。ゼレンスキーのゴールは全領土を奪還してNATOに入ることだ。一方、トランプはウクライナの負け戦と判断している。援助しても戦争は長引くだけで、むしろ世界第3次戦争へと拡大するかもしれないと恐れている。だから、まずは停戦するのがベストと言える。日本人は判官贔屓が好きだ。だからゼレンスキーを応援したくなる。しかし、ウクライナが勝つ見込みは無い。まずは現状を認識して停戦に持ち込むべきだろう。少なくとも、今回はトランプの主張が正しいと思う。珍しくトランプと意見が一致した。
大阪万博の大屋根リングが完成したとのニュース。明日施工事業者から万博協会に引き渡される。巨大木造リングは、1周2km、高さ12~20mの世界最大級の木造建築で総工費344億円もかかった万博の目玉だ。当初は、国産木材を使用し国内林業を育てる、宮大工による日本の伝統工法を継承するため、万博終了後は解体して廃棄する、計画になっていた。ところが、国内に巨木は少ない。そのためメインはフィンランド産木材が使われた。日本の伝統工法とは言うが、金属のボルトが多用されている。終了後の廃棄に批判が多く、今になって再利用を呼び掛けている。しかしコストが高く再利用の見通しは無い。その上、万博遺産のレガシーとして残しても維持費を賄えない。嘘の上塗りの大屋根リングであった。大阪万博は4月16日に開幕する。万博協会は開幕前に、大屋根リングの当初計画と現状の対比を説明すべきだ。その上で、何人が入場するだろうか?大屋根リングをどのように感じるのだろうか?
来年度予算案成立の攻防が面白い。維新は高校無償化を勝ち取り、賛成に回りキーボードを握った。一方、国民は年収の壁の突破はならず反対に回り主導権を握れない。この状況を泉房穂前明石市長が上手いこと言っている。泉前市長はかねてから「国民負担増の政治」から「国民を救う政治」への転換を訴えている。しかし、国民案の103万円の壁を178万円にすれば、6兆円規模の減税効果と言われていたのに、維新はその60分の1の1000億円で新年度予算可決の賛成側に回ってしまった。与党過半数割れで「国民を救う政策」への一部転換が図られそうな状況だったにもかかわらず、維新のたった1000億円という安売りで、国民の苦しみは続くことになりそうだ。国民の失望は大きい」と私見を綴っている。石破政権から見れば、高校無償化には5000億円掛かるが、取り敢えず来年度は1000億円で済む。来年度予算さえ通れば、維新は不要だ。石破は再来年度の責任は無いと考えているに違いない。結局、維新は自民に虚仮にされたということだろう。最早、維新に明日は無い。
イーロン・マスクが率いる米政府効率化省の職員の約3分の1に当たる21人が辞職した。要求された改革は国を危険にさらすものだと抗議してとのことだ。21人は米国デジタルサービスに勤務していたが、米政府効率化省に再編されたばかり。その1週間前には米国デジタルサービスの職員約3分の1が突然解雇されている。解雇された職員らは社会保障、退役軍人サービス、税務申告、医療、災害救援プラットフォームなどの重要な政府システムの近代化に取り組んでいたという。彼らの解雇はこれらのサービスに毎日依存している数百万人の米国人を危険にさらし、重要なシステムと国民のデータの安全性が損なわれると危惧されている。一方で、かつてEV革命の象徴だったテスラを、世界中のオーナーが手放している。ブランドイメージの急落が、オーナーの選択を変え始めた。マスクやトランプに反発してのことだという。ヨーロッパでの販売不振や、中国の自動車メーカーBYDをはじめとするライバル企業の競争激化も株価に悪影響を与えている。トランプ就任時から株価は倍になったが、すでに就任時の値に戻る気配だ。マスクの落日は近そうだ。
今やイーロン・マスクは、押しも押されぬ世界一の大富豪だ。テスラ、スペースxを始め多くの最先端企業設立に携わってきた。まさに現代のスーパーヒーローと言える。大枚を叩いてトランプに取り入り、ドナルド政権では米政府効率化省を率いることになった。早速、米国際開発庁の多くの職員のクビを切った。大統領執務室では息子Xを引き入れ肩車をしてみせた。些かやり過ぎだと思うが、日の出の勢いだ。向かう者敵無しという感じだ。マスクは、政府の資金に群がう企業を敵視している。甘ったれるなという訳だ。しかし、マスク自身は、テスラにしてもスペースxにしても、政府の援助があったからこそ成功してきたのだ。トランプはハチャメチャだが選挙で選ばれたので正当性がある。でも、マスクはトランプの威を借りたキツネに過ぎない。威を借りたキツネはいずれ叩かれるものだ。トランプが去った後のマスクの人生は目に見えている。
相変らず兵庫県知事選のゴタゴタが続いている。斉藤知事は失職後、再出馬した。兵庫県知事選では選挙前予想に違い斉藤が圧勝した。しかし、多くの問題を抱えた。立花N党代表も立候補したが、斉藤を応援し2馬力体制を作った。こんなことが許されるのだろうか。でも法的規制は無い。法に触れなければ何でもやっていいという考えのようだ。斉藤はSNSを駆使して若者の心を掴んだ。でも、SNS業者に対価を払ったのだから、明らかに選挙違反。だが、その是非は未だに決着していない。更に、維新の県議員は斎藤の疑惑を究明する県議会調査特別委員会の内容を立花N党代表に漏らした。漏らすことは法的に規制されていないが、信義に欠ける。そして立花は、その真偽の分からぬ情報を利用して斉藤の正当性を煽った。選挙後「何故斉藤に投票してしまったのか今となっては分からない」と言っている県民が多いという。現在維新の県議員の処分が取り沙汰されている。しかし、あろうことか吉村維新代表は県議員の行為について「ルール違反だが本人たちの思いは分かる」と肯定した。明らかに維新の組織ぐるみの違法選挙と言えそうだ。
みずほ銀行は元行員1人が貸金庫から顧客2人の現金数千万円を盗んでいたと今月18日に発表した。昨年の三菱UFJ銀行に続き、また行員による貸金庫窃盗かと思った。ところが、そうではない。事件は2019年に発覚していたが、6年間も隠蔽していたのだ。事件は三菱UFJ銀行よりも前に起きていたのだ。公表していれば三菱UFJ銀行の事件は防げたかもしれない。三菱UFJ銀行のケースでは、元行員は窃盗容疑で逮捕され、三菱UFJ銀は半沢淳一頭取ら役員5人を減給処分した。だが、みずほ銀行のケースでは、元行員を懲戒解雇したが役員の処分は無し。元行員は未だ逮捕されていない。再発防止策を講じたというが公表もされていない。これまで事件を非公表とした理由について「お客さまとの関係なども踏まえて公表しなかった」といい加減な説明している。みずほ銀行は三菱UFJ銀行以上に、顧客の信用で成り立つ銀行業務の根幹を揺るがしている。
安倍派裏金のキーマン松本淳一郎元会計責任者の参考人聴取がドタキャンになった。先月末予算委において野党の賛成多数で招致が決定された。当初松本元会計責任者は「身体的、精神的負担が大きい」などと応じず自民も消極姿勢を示していた。だが、非公開を条件に聴取を行うことで与野党が合意した。ところが、前日に自民が急に翻意し延期となってしまった。招致決定後、松本元会計責任者の元に複数の旧安倍派幹部からひっきりなしに電話がかかってきたという。「余計なことはしゃべらないでね」という生易しいレベルではなく「参考人として出てくるな。家でおとなしくしていろ」といったものだったという。裁判の弁護士費用も旧安倍派が面倒を見ているので、松本元会計責任者は反論出来ずドタキャンになったとのこと。安倍派のキックバックは、安倍元首相が中止を決めながら、死去後に再開。松本は昨年の公判で「ある幹部が再開を要望してきた」と語り、2022年8月の幹部会合で再開を決定したと証言している。ある幹部が会合後に「池田佳隆くんが気の毒だから還付を再開して」と松本氏に指示したとも言われている。池田佳隆を舎弟にしているのは萩生田だ。その上は森。いずれ天罰が下ることだろう。
高校授業料の無償化を巡り、自公維が合意し2025年度予算案の年度内成立に道筋を付けた。しかし、問題は2つある。1つは、私立高校の授業料を無償化すること。確かに、無償化が実現すれば、家計が厳しい生徒にも門戸が開かれる。だが、デメリットはもっと大きい。私立が授業料を値上げするのは目に見えている。結局家計が厳しい生徒に門戸は開かれないのだ。益々公立との格差が開くことになる。更に無償化で浮いたお金は塾代に消えるはずだ。私立高校の授業料を無償化するには、前提として公私の受験・授業・自由度を平均化する必要があるが、何も成されていない。もう1つは、授業料無償化を予算成立のための人質としたこと。維新は授業料無償化が通れば予算を承認するとした。予算の大枠の是非は問わないで、賛成するという。その点、傍観者として追いやられている立民は、財源に基づいた修正案を提示している。でも、蚊帳の外だ。維新と立民のどちらが日本にとって価値が有るかは明白なのだが、維新が勝とうとしている。維新の政治は腐っているとしか言い様がない。
OpenAIが最初のチャットGPTを発表した2018年は衝撃的だった。チャットGPTは年々進化し、人間の脳に置き換わるのではと話題になった。でも、現在は「人間の脳を超えることはない」というのが通説だ。ところが、マイクロソフトでWindows95開発実績のある中島聡氏は「AIは人間を超える」と確信しているという。人間は地球に存在する生物の中で、最も知能が高い生物と言われている。人間の脳と他の動物の脳に特別な違いはない。人間が言葉や道具を使いこなせるまでの知能を得るために唯一必要だったのは「脳の容積」だったのだ。人間の知能の上限は1400立方センチ・860億個ニューロンという物理的制約により決まっている。それに対し、AIの知能の上限は、投資額と供給できる電力で決まる。結果として「AIが到達できる知能レベルは、人間のそれよりもはるかに高い」ことはほぼ確実だ。GPUの誕生と、GPUのニューラルネットへの活用により、ポテンシャルが一気に解放された。「人間の脳の容量には限度があるけど、人工知能にはない」という驚異的な事実に気が付いた。「AIが到達できる知能レベルは、人間のそれよりもはるかに高い」ことは、ほぼ確実であると納得した、と言う。
石破首相が高額療養費制度の当初方針を見直し「年4回以上該当される方の自己負担額の見直しを凍結し、据え置くことを政府として決断した」と表明した。元々政府の高額療養費の見直しは杜撰だった。がん患者団体等の対象者をヒアリングすることなく、たった4回の会議で決めてしまった。石破は「一番苦しんでおられる方々の声を聞かずに、このような制度を決めていいとは思いません」と述べ、厚労省に再検討を命じた。医療費は年々増加している。パンク寸前で抑えるのは必須だ。だが、高額療養費は全医療費の1%に満たない。しかもセーフティーネットだ。何故重箱の隅をつつくような検討しかしないのだろう。効果のあるところから手を付けるべきだ。集英社オンラインで津川友介UCLA准教授が「国民の負担を増やす前に厚労省がやるべき、2~7兆円もの医療費を削減できる3つの医療改革」を主張している。(1)70歳以上の窓口自己負担割合を一律3割負担とする(1.0~5.1兆円の医療費削減効果)。(2)医師の処方箋なしで直接購入できる類似薬を、健康保険の対象から外す(3200億円~1兆円)。(3)無価値医療を健康保険の対象から外す(9500億円~1.2兆円)。厚労省は、まず津川准教授の意見に耳を傾けるべきだと思う。
英経済誌エコノミストが「いまの物価高騰の苦しみは日本経済をデフレから完全脱却させるための代償だ」との記事を載せている。以下はその概要。日本以外の多くの国の中央銀行は昨今のインフレに伴い、政策金利や預金準備率を引き上げる金融引き締め政策をとった。日本の物価上昇率はこの3年間、日銀の目標である2%を上回っていたが、金利はマイナス0.1%から0.25%に上昇した程度でほとんど変わらない状態が続いている。これは日銀が、この数十年来のデフレを明確に終わらせたいと考えていることの表れだ。2021~22年にかけて、日本経済は急激な円安と輸入品価格の上昇により大きな打撃を受けた。企業は「値上げのタブー」を破るしかなく、労働者は賃上げを強く求めるようになった。日銀は、インフレと賃上げの波にのり、現状の生産コストの上昇によるコストプッシュインフレを、消費が増えることで価格が上昇するディマンドプルインフレに転換したいと考えている。今年の春闘でも、前年に続き5%の賃上げが実現すると予測する。日本経済をめぐる状況は好転の兆しを見せているが、その一方で日銀は難しい舵取りを迫られている。日銀が利上げに慎重になれば円安と物価高騰が長引き、野心的過ぎればインフレが定着する前に円高になり、デフレからの完全脱却は頓挫してしまう。日銀が今後も金利をゆるやかに引き上げる方針を堅持すれば、いつかは日本経済が健全になる、と指摘している。日銀を知るには、国内の新聞よりも海外の記事の方が分かり易い。
日本のお米が美味しい理由が「日本文化の核心:松岡正剛:講談社現代新書」に書いてある。アジアの稲はジャポニカとインディカとがある。ジャポニカは短粒で、加熱すると粘りの出る日本型の米で、脱穀したのち炊いて調理する。インディカは長粒で粘りが少なくインド型の米で、炊くのではなく、煮て調理する。稲作には大きく2つの方法があり、水田で栽培する水稲と畑で栽培する陸稲がある。その水稲栽培にもいろいろな方法がある。古代中国では直播きで天然の降水で育てる天水農業が中心だった。日本の場合は稲が育ちざかりのとき長梅雨などに見舞われ、収穫間近になると台風などに見舞われることが多いため、まず種籾から苗代で苗を作り、幼弱な芽をあらかじめ強く育てておいて、それをあらためて水田に植えかえるという育て方が中心になった。稲作のプロセスに苗代を挟んだことは、日本の画期的なイノベーションだった。著者は「苗代」をつくったことが日本のお米を強くもし、豊かにもし、また美味しくしていったのだと思っているとのこと。手間を掛けて美味しく育った日本のお米は輸出に向いている。中国に約12,000トン、米国に7,000トン、シンガポールに6,000トンも輸出されている。もっと大幅に輸出を増やすべきだと思う。
農水省もマスコミも「コメ不足は投機筋による買い占めだ」と言っている。本当だろうか? 農水省によると、2023年秋の主食用米の収穫量は661万トン。しかし、これに対して需要は705万トンもあったので「40万トンの米不足」が起きていた。それが2024年春から徐々に露呈して、夏にはついに店頭からコメがなくなった。農水省は「9月になって新米が出回れば米不足は解消する」と盛んにアナウンスしていた。しかし、その後も「40万トンの米不足」は続いているのだ。道理で米価高騰が続く訳だ。その原因は収穫量の低下だ。農水省は、2018年に減反政策を表面上廃止した。だが、その後も米から転作する農家に補助金まで出して、主食用米の生産量を絞っているのだ。結局、コメ不足は農水省の為せる技なのだ。日本の食糧自給率は38%と極めて低い。食糧安全保障の観点からも、早急に減反を増反に切り替えるべきだ。今や自民党は少数与党に成り下がっている。野党は農林族と対峙し、増反政策を実現すべきだと思う。
赤道直径500mの小惑星ベンヌが2182年9月24日に地球に衝突する可能性が小さいながらもあるという。6600万年前に地球に衝突し、恐竜を絶滅させた直径10kmの巨大小惑星に比べれば、はるかに小さい。また、2182年の衝突確率は2700分の1(0.037%)しかない。それでも、もし衝突が起きれば、地球の大気と生態系のバランスが著しく乱される恐れがある。学術誌Science Advancesの研究論文によると、最悪の事態のシナリオでは、ベンヌとの衝突後に4億トンにおよぶ塵、エアロゾル、天体の破片や灰などが地球の大気圏に放出される。これにより、気候の混乱の連鎖が引き起こされる可能性がある。まずオゾン層が32%減少し、地球全体の気温が4度低下し、降水量が15%減少する。こうした状況によって「衝突の冬」が発生し、植物の光合成が阻害され、食料生産と生態系に連鎖的な影響が及ぶ可能性が高いと考えられる。このシナリオでは、農作物の収穫高が3分の1減少し、漁獲高が4分の1減少する。地球温暖化どころの話ではない。ところが、小惑星2024YR4が発見された。2024YR4は1.3%の確率で、2032年12月22日に地球に衝突する可能性があり、国連の惑星防衛組織が警戒態勢に入っているとのこと。最早漫画ではない。地球防衛軍の創設が必要だ。
2011年2月13日に、このブログを書き始めてからまる14年が過ぎた。毎日更新してきたから、今日は5,114回目の更新日になる。当初三日坊主に終わるかもと心配していたが、15年目を迎えるとは、思いがけずに遠くまで来たものだと思う。時々何のために書いているのか?と訊かれることがある。いつも「物書きになりたいから文章の練習をしているだけ」と答えていた。だが、実際に経験すると、単にそれだけでなく、多くのメリットがあること気付いた。ヒトは頭の中でいつも何かを考えたり感じたりしている。それは一瞬の時もあるし、四六時中の時もある。一瞬の考えは殆ど瞬く間に過ぎ去ってしまい思い出すことも出来ないことが多い。でも、文章に残すと残る。そこの自分を発見する。文章を書いていると、それまで思ってもみなかった考えが湧き出てくることがある。そこで自分自身を再発見する。通常、夫婦間の意思疎通は阿吽の呼吸だ。でも、実際に相手が何を考えているのかは分からない。ただ経験を糧に憶測しているだけだ。しかし、文章として自分の考え方・感じ方を記すとダイレクトに伝わることになる。そして会話も実になるものになる。14年間毎日書き続けてきたことは、自分自身の鍛錬になった。もう書くものが無い、書きたくないと思う時もある。でも書く。その乗り越える意志が自分を成長させているように思う。
地方創生のための予算が未消化だとのニュース。地方創生は2014年に安倍政権が始めた。初代担当相は石破現首相。あれから10年が過ぎた。でも、この10年間の日本の実質成長率は年平均0.5%にとどまった。2014年に1.42だった合計特殊出生率は2023年に1.20まで落ち込んだ。地方創生予算の2023年度末までの執行状況を確認できたのは292事業。うち26事業は予算の過半を使い切れず、国庫に返納していた。自治体の施設整備支援、テレワークによる移住推進、商業施設の改修補助等は半分以上も使い残したのだ。地方創生の予算付け理由が、如何に実態とかけ離れているかが良く分かる。なのに石破は、地方創生に2024年度比で倍増の2000億円の交付金を計上した。更に新しい地方経済・生活環境創生本部の初会合で「何がうまくいかなかったのか反省をきちんとしないと、これから先の展望はない。金額だけ増やしたということでは何の意味もない」と言及した。仰る通りだが、これでは実行と結果があべこべだ。予算を付ける前に、反省しなければならない。反省してからこそ、有効的な予算が組める。予算と反省の同時進行は有り得ない。
生活が苦しい人に無料で食事を振る舞う飲食店は「思いやり食堂」と呼ばれ、最近、中国の都市部で広がっているとのこと。北京にはメニュー表にない隠語「唐辛子肉炒め丼」を注文すれば支払いは不要という中華料理店があるという。メンツを重んじる中国人を思いやり、店主が自発的に生活困窮者へ食事を提供しているのだ。都会で助け合いの輪が広がることに、心が温まる思いがする。だが、裏返せば「救い」を求める人が増えているという寒々しい現実なのだ。中国政府も昨年末から生活困窮世帯への支援を強化する方針を打ち出したとのこと。中国経済は大減速している。経済減速による若者の就職難、リストラや企業倒産の増加によって、都市部を中心に新たな貧困層が出現している。中国は格差社会でもある。これまで貧富の格差は、高所得層が急速に豊かになることで引き起こされてきた。ところが、今後は中低所得層の収入が落ち込むことで格差が広がる構造に変化する。習近平はこれまで「強国建設」を掲げてきたが、社会的弱者を支えるセーフティーネットを整備し、庶民の安心感や希望を取り戻すことに舵を切り替えることが求められている。出来るだろうか。
永遠の疑問だった「ナスカの地上絵は誰が、いつ、何のために描いたのか」を坂井正人山形大教授が解明したとのニュース。今まで見つかっていた地上絵は430点あったが、坂井教授らは新たに303点発見したという。地上絵が描かれたのは紀元前100年~紀元後300年ごろと考えられている。忘れ去られていた地上絵に光が当たったのは1920年代。1994年世界遺産に指定された。坂井教授らはAIを駆使し発見したので「考古学分野のAI革命」とも呼ばれている。坂井教授らによると地上絵には2種類あるという。1つは、ハチドリやコンドルなどの野生動物が90m規模で描かれている「線タイプ」と呼ばれるもの。もう1つは、地表に凹凸をつけているが、平均約9メートルと小さい「面タイプ」と呼ぶもの。今回の発見は全てこの「面タイプ」だった。坂井教授らは、線タイプは「聖地巡礼の発着点に設けた儀礼広場」とみている。一方、面タイプは文字に代わる掲示板のような情報共有のツールだったのだろうと推測している。ナスカの人々は文字を持っていなかった。絵の並びにも意味があり、道を歩きながら絵巻物のように見ていくことで、人身供犠の意義や家畜の繁栄などの価値観を共有し、次世代に受け継ぐ意味があったという。ナスカの地上絵は、決して宇宙人へのメッセージなどではなかったのだ。
石破首相の初めてのトランプとの首脳会議は大成功に終わったとマスコミが報道している。どうやら杞憂に過ぎなかったようだ。トランプが日本に脅しをかけることは当面無いことが明らかになった。成功の要因は何だろうか。対米投資などの土産をどっさり用意し、経済投資話に終始したことだ。USスチール買収計画は買収ではなく投資だと提案し、何と対米投資を150兆円まで引き上げると表明した。会談前の安倍元首相の遺産、防衛費を倍増した岸田前首相の前払いが功を奏した。何よりも事前準備が完璧だった。トランプの性格、好み、コミュニケーションスタイルなどを徹底的に調べ上げ、分析したうえで、この日の会談に臨んだ。石破は関係者から何日も講義を受けたという。そのポイントは、抽象的でなく具体的な話をすること、結論を先に、話は簡潔に、トランプを褒めること、だったとされている。是非とも国会においても「具体的に、結論を先に、簡潔に答弁すること」を願いたいものだと思う。人間やれば出来るのだ。
長らく使っていたiPhone8をiPhone15に機種変更することになった。iPhone8の生体認証は指紋だが、iPhone15は顔認証に変わるという。マイナカードの顔認証はエラーが多いことで有名だ。そこで少し心配になり調べてみた。マイナカードの顔認証は、化粧、メガネ、髪型が変われば認証しないことが多いという。マイナカードは平面的な写真だけを使い、目や鼻、口、耳といった顔の特徴点を手掛かりに、写真と同一人物なのかを判定している。そればかりではない。マイナカードの顔認証機は5社が作っていて、メーカー毎に異なっているし、写真の鮮明さも影響しているとのこと。それに較べiPhoneの顔認証は、平面的な写真だけではなく、赤外線カメラなども活用して顔の3Dデータも使っている。では、マイナカードも3Dデータにしたらと思うが、ICチップの性能面から無理だという。デジタル庁は2026年に、現状のマイナカードよりも機能を向上させた次期個人番号カードを導入しようとしている。しかし、現状の顔認証でも「大きな支障が生じていない」という判断から、白黒の平面的な画像だけという今のままとなる予定とのこと。結局、マイナカードの顔認証はセキュリティの強化ではなく、顔写真による盗用防止のためにあるようだ。
外国産コメの民間輸入が拡大している。2023年度は368tだったが、兼松は2万tを輸入するという。近所のスーパーでもカリフォルニア米を売り出した。国内産は5kgで3700円だが、隣に置いてある米国産カルローズは2700円と国内産より安いのだ。農水省の管理ミスにより2000円だったコメが倍額になり、米国産よりも高くなってしまったのだ。最早2000円には戻りそうもない。外食業界はコメ確保に汲々としている。商社各社は今後民間輸入を大幅に増やすに違いない。日本人の主食であるコメを輸入に頼って良いのだろうか。農水省は未だに「コメは作るな」政策を取っている。食糧安全保障の強化が求められるのに、コメ政策は逆行している。今こそ、コメ政策を大転換しコメを増産すべきだ。現在のコメの消費量は約700万トンだが、田んぼをフル活用すれば、年間約1300万トンのコメを生産出来る。日本のコメは旨いので高額で輸出出来る。酪農の飼料としても使える。増産によりコストも下がる。一石二鳥だというのに、農水省は一体何を躊躇っているのだろうか。
ホンダと日産の経営統合が白紙になった。当初統合を前提としていたが、ホンダが日産の子会社化に舵を切ったからだ。ホンダから見ると、日産の再建策は甘く、対応が遅いからだ。一方日産から見れば、ホンダの変わり身が速く不信感を募らせたからだ。実際、日産の再建策は甘過ぎる。日産の生産能力は500万台だが320万台しか生産出来ず、稼働率は6割しかない。メキシコのダイムラーとの合弁工場と追浜工場は閉鎖すべきだが、日産はそこまで踏み込めない。日産が窮地に陥っているのは北米事業の悪化にあるが、北米事業の責任者を切れず、役員の抜本的な改革も出来ないでいる。このまま統合に進めば、ホンダは大きなお荷物を抱え込むだけで、共倒れするのは目に見えている。統合話が白紙に戻るのは当然だと思う。それにしても、日産の役員らは、何故統合撤回を決めてしまったのだろう。抜本的な構造改革もしない、役員の首もすげ替えないでは、お先真っ暗だ。恐らく、子会社化ということに役員らのプライドが許さなかったに違いない。でも、そのプライドが日産を消滅の道へと進めているというのに。
DeepSeek-R1に関する中島聡氏のコメントが為になる。中島聡氏とはWindows95の生みの親で、秀逸なコンピュータ技術者であるし、その道の達人だ。言わばこの道の神様的存在と言える。中島聡氏曰く「DeepSeekの発表で、Nvidiaの株価が17%も下がったが、それは一時的な動揺で何の問題も無い。現在、MicrosoftやMetaは1日でも早く人間よりも賢い人工知能を作るためのスピード競争をしている。1万台のGPUで6ヶ月かかる場合、2万台のGPUがあれば3ヶ月で作れる。だから、過剰とも言えるほどのAIインフラ投資が行われている。それがDeepSeekの出現で、これまでの10分の1のコストで人工知能が作れるようになるかもしれないと言うことは、10分の1の時間で、人工知能を開発出来ると言うことになる。更に「オープンな人工知能がクローズドな人工知能に追いつくスピードがさらに短かくなり、米国と中国の技術力の差が縮まった、人工知能の低価格化がさらに進んでいる」と指摘している。結論としてDeepSeekの出現は「AIインフラへの投資意欲が失われることはなく、投資意欲は高まる可能性が高い」と指摘している。因みに、DeepSeekはオープンウェイトという、誰でも同じ人工知能を自分で走らせることができるものなので、ローカルデバイスや、米国のサーバーで実行する場合には、その危険は無いとのこと。日本では安心してDeepSeekを活用すべきということかもしれない。
トランプの関税狂騒曲が始まった。2月1日、トランプ大統領はカナダ、メキシコに対して25%の関税、中国に対して10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名した。ところが直後の3日、トランプ大統領は発動を30日間延期する大統領令を発出した。いずれもカナダ、メキシコ両首脳との電話会談で、対策を取っていると判断したからだとしている。でも、当初から発動を3月1日に延期する方針だったのが真相とのこと。いずれにしてもブラフ政治であることに違いはない。トランプは就任演説で、議会襲撃事件の恩赦、政府効率化省の設置、パナマ運河奪還、パリ協定離脱、エネルギー非常事態宣言、多様性政策撤廃、メキシコ国境の非常事態宣言、出生地主義の廃止、不法移民の強制送還、石油・天然ガスの積極的採掘、グリーンニューディール終了、EV優遇策廃止、貿易システムの見直し、対外歳入庁の設置、言論の自由の徹底、建国の精神・愛国心教育等の改革を並べた。常人は良識・常識を真っ向から覆されると、意外とすくむものだ。さて、何時になったら反撃するのだろうか。
コンゴ民主共和国を中心に「死に至る病」として恐れられているエムポックスが急増し、重症例・死亡例が増えているとのニュース。昨年夏WHOが緊急事態宣言を発表した。現時点で日本では流行していないが、今後訪日外国人の増加や海外渡航をする日本人が増えれば国内でまん延する恐れは無くも無い。治療薬の準備が必要だ。海外ではデンマークのワクチンが広く使われている。だが、日本では承認されていない。日本製のワクチンも発売されていない。厚労省は先月、米国の製薬会社SIGA Technologies社の「テコビリマット」を承認した。そしてSIGA Technologies社は日本が承認したと発表した。ところが、その発表は世界中で物議を醸し、米科学誌Scienceでも大きく取り上げられることになった。何故なら、テコビリマットは二つの臨床試験で有効性が否定されていたからだ。厚労省は、効かない薬を承認したのだ。Scienceの取材に対し、日本の医薬品を承認する機関の医薬品医療機器総合機構は「特定の薬剤に関する質問には答えない」と回答したとのこと。新聞も週刊誌も取り上げるべき問題だと思う。
日産の経営再生のためのホンダ・日産経営統合の方向性が彷徨い続けている。1月末までに方向性を見定めるとしていたが、2月に先送りされた。昨年11月に発表した再生計画では9千人を削減するとしていたが、未だに具体案は無い。労使協議も無いし、従業員への説明も無い。最近は日産の子会社化が言われ出した。従業員の不安は募るばかりだ。内田日産社長の無能さが際立っている。そもそも、ホンダ・日産の経営統合話が唐突に生まれたのは何故なのだろう。鴻海が日産を買う情報が入り、経産省が「鴻海に取られる位ならホンダと統合させてしまえ」とでも考えたのだろう。ホンダはホンダイズムが徹底しているが、一方日産は官僚気質だ。統合するには無理がある。子会社化では日産社員が浮かばれない。幸か不幸か、鴻海には元日産NO3の関EV事業最高戦略責任者がいる。日産はゴーン改革の影響でHVに後れを取った。今更後追いは出来ない。幸いEVでは先行している。現在EV市場は世界的にシュリンクしているが、逆に言えばチャンスでもある。この際、鴻海と組んで、EVの新世界を切り開くべきだと思う。
コメの価格がほぼ倍に高騰している。流通段階でのコメ不足が深刻になっているからだ。少なくともコメ17万tの在庫が行方不明になっている。農水省は、新米が出回ればコメ不足は解消するとして、備蓄米を放出しなかった。でも、新米が出回っても解消しないのだ。農水省は、JAや大手集荷業者の在庫しか把握していないので、コメ17万tの行方が分からないのだ。コメは日本人の主食だ。急激な価格変動はあってはならないというのに、農水省は一体何を管理していたのだろう。農水省は、2月の状況を見て、備蓄米の放出を考えるとしている。結局、コメ高騰の要因は、農水省の2つのミスだと思う。1つは、現状の流通状況を把握せず、在庫をしっかり管理してなかったこと。もう1つは、管理ミスで生じたコメ不足に対し、機敏に備蓄米を放出しなかったこと。この2つを実行していれば、コメの価格がほぼ倍に高騰することは無かったはずだ。