「齋藤孝の大人の教養図鑑」が面白い。知識とは次から次へと繋がるものだとして、フロイト→ユング→錬金術→ニュートン→ゲーテ→モネの大ジャンプを紹介している。自分が興味を引いたのは錬金術。錬金術とは、銅や鉄などの卑金属から金をつくりだすという技術のこと。エジプトのアレクサンドリアで発祥したとされ、ヨーロッパでは14~15世紀に流行したが、17世紀には近代科学の発展と共に衰えた。この本によると、ユングは自身の精神分析と錬金術との間に密接な類似を見いだし、晩年には錬金術関係の研究に没頭したとのこと。ニュートンは、早い時期から錬金術に没頭しており、死後、錬金術に関する膨大な資料も発見されている。ニュートンは錬金術研究を通して、物質の根源、生命の本質を探求していたらしい。近代科学が成立するまでは、錬金術も知識を求める一つの方法だったのだ。錬金術は現在ではオカルト的なものと見られているが、その発展と流行の過程で、塩酸や硫酸、硝酸などの化学物質が発見され、るつぼや蒸留器などの実験器具も発明された。錬金術のお陰で現代の化学があるのだ。長年化学に携わってきた自分にとって、錬金術が自分の故郷に思えてきた。
日経の世論調査「維新、立民どちらに期待するか」によると、維新51%、立民27%で支持率が逆転したとのこと。次回の総選挙で維新と国民が手を組めば、野党第1党になる可能性が出てきた。山口4区の補選に出馬した有田は「下関は統一教会の聖地だ」発言で、無党派層からそっぽを向かれ落選した。国会では小西が怪文書で騒ぎ立てた。防衛費や少子化対策など多くの争点があるのに、肝心の論争をしない。立民の支持率が落ちるのは当然だ。しかも、入管法改正案では寺田が自民から修正案を引き出したのに、旧社民系の反発により党執行部が法案を見送ってしまった。ある議員は「この党は活動家に乗っ取られている」と嘆いたという。立民は衆参の5補選で3人の公認候補を立てたが、全敗した。反省は連休明けだと流暢だ。もはや解党の道しか残されていない。しかし一方で維新も問題山積みだ。維新には問題人物がゴロゴロしている。党勢に人材が追いつかない。自民や立民からはじかれた輩を維新が拾う構図だからだ。野党のこの為体では2大政党制は望みようもない。維新も国民も自民に合流して、一大勢力になってから分党して2大政党化する道しか残されていないと思うのだが。
今日でコロナの水際対策が終了し、インバウンドが戻ってくる。ムスリムの人気観光先は岐阜県だという。2013年に東南アジア諸国からの観光ビザ発給要件が緩和されて10年。国民にムスリムが多いマレーシアとインドネシアの訪日客が増えている。当初はイスラム教の教義に沿った食事など「ハラル」への対応が話題の中心だったが、食事以外でも出来る範囲で配慮する「ムスリムフレンドリー」の考えが徐々に浸透しているようだ。高山市では地元企業が中心になって14年に「飛騨高山ムスリムフレンドリープロジェクト」を開始。今では具材や調味料をハラル対応にした高山ラーメンや「ハラル飛騨牛」が味わえる飲食店も増えている。多くの宿泊施設も食事などへの配慮を徹底。英語のパンフレットには20カ所以上のムスリム対応施設が掲載されている。ハラル対応のしょうゆや酢を用意し、店内に礼拝スペースもある。何故岐阜はムスリムフレンドリーになったのだろう。人は元来理解し難い相手を敬遠するものだ。一般の日本人は外人との付き合いが苦手だ。でも、高山市は外人の超人気観光地。外人に馴れているのが特徴だ。しかも、訪日客数の伸びが期待出来るムスリムに焦点を当て、街全体でオモテナシを図ってきた。観光立国を目指す日本にとって、最高のお手本となっている。
シジュウカラが言葉を話して情報交換していることは「titあれこれ」に書いたことがある。実は紀元前のアリストテレスの時代から、人間だけが言語を持つ特別な生きもので、動物の鳴き声は感情に過ぎないとされてきた。それを鈴木京大助教が覆したのだ。しかも、鈴木京大助教は東大先端科学技術研究センターの准教授に就任し、世界初の「動物言語学」を学問として創設した。たった一人の研究者が新しい分野を創設するというのは極めて稀な偉業といえる。動物言語学という新しい学問では、動物行動学、認知科学、言語学、AIなど、文理の垣根を超えた学際的な研究を進めることになる。では、動物たちの言葉が分かると、世界はどう変わるのだろう?動物が何を話しているのか分かると、自然に対する価値観が大きく変わるに違いない。生物多様性の減少や地球温暖化など、現在直面している環境問題に対しても、人間と自然との関わり方を考え直すきっかけにもなるはずだ。先日、植物も会話しているという番組を見た。動物に限らず動植物言語学が進展すれば、ヒトの心は益々豊かになるはずだ。
サルはうな丼が好きだとか、うな丼を食ったという類いの話ではない。立憲民主党の小西参院議員が参院憲法審査会幹事会で、毎週開催される衆院憲法審のメンバーをサル呼ばわりしたことで非難を浴び、参院憲法審査会の野党筆頭幹事を更迭された。今度は、参院本会議で宮口参院議員が「うな丼大臣の即刻更迭」を求めた。うな丼大臣とは、国家公安委員長と防災担当大臣を兼務する谷大臣のこと。岸田首相が和歌山で襲撃された時、谷は高知の四万十町のうなぎ店で昼食をとる直前に事件の報告を受けた。谷は後日の自民党のパーティーで「うな丼はしっかり食べさせていただきました」と語ったという。広島サミットの警備責任者であり、危機感も緊張感も感じない谷に要人警護・警備の責任を担わせてよいのか、と宮口は迫ったのだ。国民は、谷の危機感や緊張感の有無よりも、宮口の「うな丼」への拘りを感じてしまったようだ。「うな丼」などに拘らなければ、谷の更迭に繋がったかもしれない。いずれにしても、政治的に機能していない。立憲民主党は終わったと見える。
食品のパッケージに記されている遺伝子組換え表示に関する制度が、今年4月1日から大きく変わった。大豆の加工食品である豆腐、納豆、味噌などの食品表示から「遺伝子組み換えでない」という表記が消え、「分別生産流通管理済み」とか「遺伝子組み換え混入防止管理済み」という意味不明の表記に代わり、遺伝子組み換えの識別が分かりにくくなった。日本の大豆の年間需要量は350~360万トンだが、国産自給率はわずかの6%。大豆の輸入先は米国が73%で、米国遺伝子組み換えの生産比率は93%。今や輸入大豆の殆どは遺伝子組み換えなのだ。表示変更は米国からの要請に消費者庁が屈したと言われている。米国からの表示変更要請は過去にもあった。1995年に製造年月日表示が廃止され、賞味期限と消費期限の記載に変更になった。米国から輸入される食品の輸送期間が長いため、日本の店頭に商品が置かれた時には、製造年月日が日本製食品よりも古いことになる。米国の食品販売が不利にならないよう変更を迫ったのだ。日米地位協定を見直さない限り、日本は米国の言いなりに従い続けることになる。
以前「アルファ米」について、このブログで書いたことがあるのは覚えている。でも、検索しても見つけ出せない。水やお湯を加えるだけで食べることができる「アルファ米」の大量生産につながる機械を、米沢市のベンチャー企業「アルファテック」が開発したとのニュース。良かったと思う。開発したのは、米沢市に本社を置く、山形大学発のベンチャー企業「アルファテック」。アルファ米のアルファとは、米のデンプンの状態のことで、炊飯して柔らかくなった糊化状態をアルファ化状態という。アルファ米は、炊飯後に乾燥させて作った加工米なので、炊かなくてもお湯や水を注ぐだけでご飯になるから非常用に利用出来るメリットがある。因みに、水分のある状態でそのまま放置すると、アルファ化状態となったデンプンが再び結晶化して、炊く前と同じベータ化状態と戻るので、味が落ち、消化も悪くなることになる。従って、アルファ化を維持させることが極めて有意義なのだ。今、世界は食糧不足で飢餓状態にある。このアルファ米が、世界の飢餓に役立ち、生産も順調になれば、この上無いことだ。国は、このアルファ米を援助すべきだと思う。世界の飢餓を救え、更に日本の農業も再生することになるかもしれない。
G7外相会合が閉幕し、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求めることや、中国の力や威圧による一方的な現状変更に強く反対することなどを盛り込んだ共同声明を発表した。G7とは、米英仏独伊加日にEU連合を加えた西側陣営だから、当然の共同声明となった。一方、中国は猛烈に反対し、汪報道官は「G7は、乱暴に内政干渉することをやめ国際社会に人為的に対立と分裂を作り出すのをやめるよう求める」と述べた。また、ロシアはG8に属していたが2014年から参加資格を停止されたままだ。世界の問題を議論するのであれば、G7に中国、ロシア、EUを加えG10にすべきだ。利害に反する国々が面と向かって議論することこそ重要であると思う。でも、今回は単に西側陣営の集まりであったG7が、少しは収穫があった。以前は言葉の壁があり、周りには沢山の通訳がいて外相はヘッドホンを着けていた。ところが、今回のG7では、誰一人としてヘッドホンを着けずに、英語で議論していた。ネイティブイングリッシュレベルの林外相だったからかもしれないが、世界と話し合うには堪能な英語会話力が必要だ。今後、入閣条件として英語会話力を必須とすれば、自ずと日本の世界的地位は上がるに違いない。同時に、大臣待ちのポンコツを入閣から排除出来るメリットもありそうだ。
岸田総理が、5月のG7サミット後に衆院の解散に踏み切るとの見方が出てきている。一方、岸田が長期政権を狙うには来年9月の自民党総裁選に解散を近づけた方が良いという考え方もある。また、内閣改造・党役員人事を行って、秋に解散すれば良いとの声もある。延命したいがための方策は色々ある。しかし、解散は己の都合によるものではなく、国民に信を問うものであるべきだ。岸田は安倍の国民葬をはじめてとて首相の独断で物事を決めてきた。6月には異次元の少子化対策の財源の確保の方法が明らかになる。防衛費の倍増も原発の再稼働と新増設も決めてきた。このままなし崩しに進めるべきではない。岸田は6月解散で国民の信を問うべきだと思う。それにしても選挙公約とは、いい加減なものだとつくづく思う。出来もしなことを公約する。実施結果を振り返らない。単に選挙民にとって甘い言葉でしかない。それに較べ、もし岸田が6月に解散すれば、これまでの仕事に対して国民の審判が下ることになる。解散とは、こうあるべきものだ。
ジャニー喜多川が創設したジャニーズ事務所は、日本の芸能界を圧倒的な影響力で支配してきたし、今も大きな力を持っている。一方で、喜多川には、所属する少年たちに対する性的搾取の疑惑がつきまとってきた。2019年に87歳で亡くなったが、今でも崇拝されている。今年3月にBBCが制作したドキュメンタリー「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」が放送された。これがきっかけとなり、喜多川の被害者である元ジャニーズJrが日本外国特派員協会で、喜多川から受けた性被害について語った。今では、誰でも喜多川の性犯罪を知っている。でも、日本のマスコミは取り上げない。公然の秘密としている。しかも、国民は誰一人として取り上げないマスコミを批難しない。極めて異常な光景だ。もし、テレビ各局が報道し始めたら、何が起きるのだろうか。テレビ画面から、ジャニーズ全員が消えるかもしれない。視聴率は激減する。恐らく民放各社はそう考えているに違いない。視聴率あっての民放だから、分からなくも無い。でも、NHKは別だ。視聴率に左右されるスポンサーはいない。しかも、一応公共放送だ。NHKには報道すべき責務がある。怠慢としか言い様がない。いや、公共放送としての自覚が無いのだ。NHK新会長は、前会長の粗探しから始めるのではなく、まずは公共放送の定義づけから手を付けるべきだと思う。
4月9日の選挙で、吉村現知事が再選され、市長には横山大阪維新の会幹事長が当選した。大阪維新の会のダブル当選だ。それを待っていたかのようにカジノを含む統合型リゾートの大阪IRに対し国の承認が発表された。何かあざとさを感じた。カジノにはギャンブル依存症への不安、治安の乱れなどがある。しかも、世界中のカジノは閑古鳥が鳴いている。韓国ではカジノを誘致した街が廃墟と化している報道も流れている。どう考えても、カジノで経済発展するとは思えない。大阪維新の会は、初期投資が1兆800億円で年間売上高が5200億円、9万3000人の雇用を創出、府や市への納付金が年間1100億円に達すると経済効果をアピールしている。でも、絵に描いた餅だ。大阪府と市は土地改良工事費で約790億円の支出を決めているが、地盤沈下対策は含まれていない。例によって、今後雪だるま式に工事費が増えることになるはずだ。土地価格の見積もりも、相場の4分の1で、無理な誘致が垣間見れる。結局、大阪と国の財政を圧迫するだけだと思う。更に、2025年の大阪万博も盛り上がっていない。維新はアドバルーン戦略は止め、せめて大阪IRは取り下げ、地に着いた政治活動に専念すべきだと思うのだが。
フェイクニュース。これは2020年の米大統領選でのトランプの口癖だった。トランプは徹底的にCNNをフェイクニュース呼ばわりし、FOXこそ真実を伝えるマスコミだと言っていた。でも、当時自分はCNNの方が正しくてFOXこそフェイクニュースを流していると思っていた。しかし、時の大統領は強い。トランプ時代はFOXが正となっていた。トランプは選挙に敗れたが、選挙に不正があったと主張した。それに乗ってFOXは、米大統領選で投票の集計結果が不正に操作されたとのニュースを流した。そして選挙の集計責任者であるドミニオン社がFOX相手に訴訟を起した。その結果、公判開始直前に1千億円超をFOXがドミニオン社に支払うことで示談が成立した。FOXの年間収益は29億6000万ドル。今回支払う和解金はこの4分の1という膨大な額になる。FOXとって痛手かもしれないが、問題はもっと深刻だ。世界中の人たちは米裁判では、メディアが国民にウソをついてもカネさえ払えばケリがつくことを知ってしまったのだ。トランプは、未だに2020年の大統領選は不正選挙だと言い続け、バイデンの当選を認めていない。「これを機にトランプは次期大統領選の出馬を断念しバイデンに陳謝した」というのは本当のフェイクニュースだ。
高野連が、大谷選手着用のスパイクシューズに公式大会での使用NGを出したとのこと。大谷選手は今季からニューバランスの野球用具を使用している。ニューバランスは3月に新たに3000シリーズという品番の高校野球対応モデルを投入した。ベロには3000というロゴが表示されている。ところが、高野連はその3000というロゴの大きさが規格に外れているとの理由で使用NGにした。驚いたことに、ロゴの大きさまでもが縦3cm×横5cm以下と決められているという。高野連が主催する大会で使用できる用具には、多くの制限が設けられている。今回のロゴの大きさのように性能や安全性と関係ないものも多い。例えばグラブのカラーはブラウン系、オレンジ系、ブラックのみが認められており、グラブ、ミットの表面に氏名や番号など文字を表記することが禁止されているのだ。高野連は春季大会でヌートバーのペッパーミルパフォーマンスも禁止した。高野連は、高校球児を規制でがんじがらめにしている。球児たちが野球を楽しめるよう高野連の大改革が必要だ。
富士通がついにメインフレーム事業からの撤退を発表し、それを利用している企業に激震が走っている。メインフレームとは、大型汎用コンピューターで、メーカー独自方式のハードに独自基本ソフトウエア、独自業務アプリケーションを積んだシステムのことだ。富士通はメインフレームの生産を2030年で終了し、サポートも2035年で終えるという。メインフレームは、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムの代表格といえる。現状のシステムの構造が複雑化し過ぎて、自社が使っている現在のシステムの構造が把握できない企業も多い。現状のシステムを丸ごと乗り換えるには複雑過ぎて非現実的だ。そうかと言って、ほいきたオープン化という訳にもいかない。恐らく多くの企業は、サポート切れのガンタレ・システムを使い続けることになるに違いない。自分が勤めていた会社は20年前にSAPを導入した。経営状況を即座にデータ化出来るので便利だが、そのSAPも2025年にサポートが終了する。しかも代替が無い。企業にとって青天の霹靂だが、これを契機に仕事のやり方を見直し一気にDX化を図るしか道は無い。
京都大学と岡山理科大学の合同研究チームが「メラニンの生合成には、銅だけでなく亜鉛も必要不可欠だ」とする研究結果を世界で初めて発表した。メラニンは、皮膚や毛髪、瞳の色などを構成する黒色の色素で、紫外線から肌を守る重要な物質だ。でも、紫外線を多く浴びると体内で過剰にメラニンが作られ、日焼けしたりシミが出来たり、最悪の場合は皮膚がんを引き起こす。だから、この研究は、メラニンを生合成させるためのものではなく、メラニンを生合成させないためのものなのだ。従来、メラニンの生合成は、チロシナーゼを銅が活性化するためだと言われていた。だから、現在市販の日焼け止めクリームには、銅を不活性化させる成分が含まれているのだ。ところが、この研究により、銅が結合して機能すると考えられてきたチロシナーゼ関連タンパク質の発現には、ZNTが輸送する亜鉛が不可欠であることが分かったのだ。ZNTとは、細胞内の小胞体やゴルジ体に局在する亜鉛を運ぶ複合体だ。つまり、ZNTを機能させないか、または亜鉛を遮断すればメラニンの生合成が抑えられることになる。今後、紫外線カット効果が高い、新たな日焼け止めが開発されることになるのだろう。メラニンの生成は養殖魚の異変などとも関連するため、黒変が問題となる食材料の改良などにも活用が期待される。
岡山大学が、リチウム空気電池の高容量化と長寿命化を達成する正極技術を開発したと発表した。東北大学、信州大学、大阪大学、スロバキア科学アカデミー、University of Natural Resources and Life Sciences、上海科技大学の学際的研究チームによる成果だ。リチウム空気電池は、リチウムイオン電池を置き換える存在として研究が行われている。リチウム空気電池は、正極に多孔性カーボン材料、負極にリチウム金属、有機電解液を用いた次世代電池。正極の多孔質を通過してくる酸素とリチウムイオンが化学反応することで発電する。エネルギー密度はリチウムイオン電池の数倍が見込まれている。しかし、正極、負極、電解液のそれぞれに課題を抱えている。今回の発表は、正極にグラフェンメソスポンジGMSを用い、グラフェンシートの断端を熱処理により、酸化耐性を大幅に高めたことがポイント。GMSを採用した結果、これまでのカーボン正極材料の容量を大きく上回る6700mAh/gの容量を達成し、なおかつ従来と比較して6倍以上の充放電サイクル寿命を達成したという。電池の進歩には目覚ましいものがある。吉野博士が発明したリチウムイオン電池が開発競争に火を点けた。その意味からもノーベル賞に相応しい発明といえる。
関東の空が黄砂で少し霞んでいる。北海道では視界が妨げられるほどになっているという。テレビの天気予報では、黄砂は地球温暖化による自然災害だから仕方ないという論調で報道している。だからしようが無いと思っていた。しかし、評論家の黄文雄は、砂漠化の原因は自然現象やモンゴル砂漠ではなく、中国共産党の漢民族政策と里山の破壊だと主張している。NASAの衛星写真から分かるように、黄砂のほとんどはタクラマカン砂漠からではなく、中国の内モンゴル高原から飛来している。中国は1960年ごろから内モンゴルに中国農民を移住させ、かつ遊牧民を定住させたため、過放牧状態になり、牧草が食べ尽くされた。特にヤギは根まで食べてしまうため、砂漠化が進んでしまった。それまで内モンゴルは土壌は草で覆われていたが、経済成長下で草原の耕地化、放牧頭数の増加、地下資源の採掘などの過剰な開発が進められたことでむき出しになってしまった。更に、内モンゴルの草原には薬膳料理の食材として非常に高価で売れる髪菜と、漢方薬の材料となる甘草が一面を覆っていたが、過剰採取され、むき出しが加速された。また、中国政府が行っている耕地に植林して森林に戻す退耕還林や放牧禁止策も逆効果だった。乾燥地に木を植えると樹木が元々少ない水を吸い上げて、さらに乾燥を進めてしまうのだ。従って、黄砂は中国政府のやり方次第で減少出来るという。マスコミもここまで踏み込んで報道すべきだと思う。
日銀の植田新体制が10日にスタートした。就任会見で「物価目標2%達成のため当面金融緩和を続ける」と表明したが、早くも手詰まり感が漂っている。世界各国の懸念はインフレから景気後退へとシフトしつつある。米国の利上げは5月でいったん停止し、景気次第では年内の利下げもささやかれている。再び金融緩和へと向かう世界の潮流に逆行し、植田は周回遅れの引き締めを決断するのだろうか。決断出来るはずがない。さりとて、日本の金利はゼロ%だから、金利を引き下げる手段も無い。だから、植田には、持論の時間軸効果説に従って何もしない時をやり過ごすしかない。でも、そもそも日銀が物価目標2%を掲げることが正しいのだろうか。物価は需給バランスで決まる。物価を左右させる政策を打ち出せるのは財務省であり、日銀ではない。財務省が物価政策を実行し、それを側面から助けるのが日銀だ。でも、鈴木財務相は物価政策に及び腰で、植田は打つ手が無い。財務省がサボり、日銀が勘違いしているという構図に見える。アベノミクス3本の矢は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略だった。日銀は大胆な金融政策で独り相撲し、政府は財政政策と成長戦略に知らん顔の半兵衛を決め込んでいる。日本の行く末は暗い。
ブロックチェーンを使ったWeb3を研究現場に活用する新しい取り組みが注目されている。分散型科学という。昨年米国の有名ベンチャーキャピタルが分散型科学を紹介したのを契機に、投資家たちが注目し、米国を中心に既に40以上のプロジェクトが立ち上がっている。日本でも4月16日に東京・渋谷で分散型科学・東京が開催される予定だ。分散型科学とは、分散型の技術を使ってサイエンスの課題を解決するムーブメントだ。分散型科学では、メンバー一人ひとりが決定権を持った自律的に運営される組織DAOが中心になり行なわれる。DAOは企業から資金の供給を受け見返りに特許などを企業に渡す。投資家はDAOに資金提供し見返りに暗号資産を得る。研究者はDAOから研究資金を貰いデータ・研究成果をDAOに渡す。その他の参加者はDAOに貢献し暗号資産を受け取る、という具合だ。バイオ、製薬系ではこの取組が進んでいる。長寿研究に特化したVitaDAOは、今年1月に米製薬会社のファイザーなどから約5億4000万円の投資を受けたことを発表している。分散型科学の夜明けは近い。
NHKスペシャル「超・進化論」が面白い。特に微生物。微生物が作った菌糸と木くずを集めて作ったブロックを加熱することで、軽いのにコンクリートよりも堅く、断熱性も高い材料が得られるとのこと。また、微生物がわずか3日で作ったタンパク質は、肉やチーズにそっくりの食感や栄養を再現出来るという。これらの研究は宇宙での利用が考えられているという。クロストリジウム・ノビィという微生物は、酸素がない場所で生きている。固形がんの内部は血管がなく酸素が無い。通常の抗がん剤は内部に侵入出来ないが、この微生物を使えば、がんを狙い撃ち出来るという。ヒトの身体には1000種類100兆の微生物がぎっしりと棲み着いている。身近な微生物はピロリ菌だ。ピロリ菌は胃がんの元凶と言われている。自分も40代にピロリ菌を無くす施術を受けたことがある。ところが、最近の研究によるとピロリ菌には、胃食道逆流症や食道腺がん、アレルギー、喘息などを抑える働きがあることが分かったという。これからは、ヒトは微生物と共に生きていく時代になりそうだ。
外国人の日本での労働のあり方を検討する政府の有識者会議が、いまの技能実習制度の廃止を求める提言の試案をまとめたとのこと。技能実習は1993年に始まった。当初は、途上国への技術移転が可能になるし、日本にとっても働き手として重宝だった。極めてWIN-WINの制度だった。ところが最近では、企業による賃金不払いのほか実習生の就労先からの失踪といった問題も顕在化している。現行の技能実習では原則、転職ができず人権保護の観点で海外から批判を受けてきた経緯もある。今や日本で稼ごうと来日する若者などいなくなってしまった。言わば、体の良い奴隷制度と化していたのだ。有識者会議は、人材確保と人材育成の双方を目的とした新しい制度に衣替えするよう提起した。転職を可能にし、日本語修得の仕組みを設け、不適切な団体を排除出来るよう管理・監督体制を厳格にすることを提案している。一見素晴らしいようだが、時既に遅し。既に、途上国と日本の賃金が同等か逆転しつつあるのだ。今や、日本人が豪州などに出稼ぎに行く時代だ。有識者会議の提案は余りにも遅すぎた。20年前に提案していれば、有識者の良識・知恵と言われたかもしれないが。有識者会議のメンバーには有識者がいないようだ。
札幌市長選で無所属(立民推薦)の秋元現市長が3選を果たした。得票数は458,221票で全投票数の56%を獲得した。因みに、札幌市の有権者数は1,688,048人だったが、投票率は51%で、過去2番目の低さだった。 この市長選は、2030年冬季五輪・パラリンピックの招致が最大の争点になった。秋元氏は「札幌の街を世界に知ってもらうために」と観光振興に絡めて招致活動に理解を求めた。子ども医療費や保育料の無料化の対象拡大なども公約として掲げた。立民や新党大地の推薦に加え、国民民主、自民、公明の地方組織も支持に回った。共産党を除く全党が支援したのだ。この選挙の結果、2030年か2034年に冬季五輪を招致する活動が息を吹き返し始めたとのこと。でも、確か五輪汚職が騒がれていた先日までは、札幌市民の半数以上が招致に反対していた。半数といえば84万人だ。この選挙で秋元現市長に票を入れた人は46万人。84万人以上が反対しているのに、その半数の票しか得られなかったのに招致活動を進めるという。これはレトリックだ。市長選と五輪招致の是非は別物だ。本気で招致したのであれば秋元市長は、改めて市民に是非を問うべきだと思う。いつの世も選挙には、この種のレトリックが付きまとっているものだ。
WHOがコロナワクチン方針を「打て」から「打たなくていい」に突如方向転換した。WHOはこれまで、全世代でのワクチン追加接種を推奨してきたのに、今回「健康な成人」と「すべての子ども」には3回目以降の接種を推奨しないと真逆のことを言い出したのだ。インフルエンザのワクチンでは安全性が確立されているから「打たなくていい」と発表されたことはない。裏返して考えると、3回目以降の接種はリスクがあるということだ。FDAの元ワクチン研究・審査局長は2021年当時から、3回目の接種は効果が薄いだけでなく副作用があるので、3回目の追加接種は必要ないとの論文を発表した。現在の現場の医師も、特に2回目接種と3回目接種との間には大きなギャップがあり、3回、4回と接種した人は接種後の予後が悪く、強い倦怠感に襲われたり、認知症のような状態になってしまう人も珍しくないと証言している。国内で接種後に亡くなった事例はすでにおよそ2000件判明している。確かに高齢者や持病がある人にとって、ワクチンによる重症化リスクの予防は一定の効果があるのは間違いないようだ。しかし、健康な成人や若者、子どもはどうなのだろうか。国の方針は、5月から高齢者と医療従事者に、9月からは健康な人に追加接種することになっている。厚労省は、製薬会社4社とワクチン8.8億回分の供給契約を結び、すでに約1兆457億円を支払済みだ。全国民に計8回ワクチンを打たないと在庫がはけないことになる。在庫をはくために国民を犠牲にすることは、有ってはならないことだが。
WBCの優勝を日本がもぎり取った。ダルビッシュが侍ジャパンを一つに纏め、大谷が勝つための力をチームに吹き込んだのが要因だろう。それにしても大谷は、MLBのMVPを獲っただけでなく、WBCで一皮剥け、野球の絶対的な王者に上り詰めたと感じた。大谷の良いところは、有り過ぎる。欠点を見つけるのが難しい。野球の実力はピカイチだが、WBCで光っていたのは、人間力とそれに加えて信念の強さだったと思う。親ならば誰しも己の子を、大谷のような子に育てたいはずだ。大谷がMLBに行く前に愛読していた本があるという。中村天風の「運命を拓く」だ。自分も若い頃に中村天風の本を読んだことがある。でも、今は何も覚えていない。中村天風の本は、他者が加工し執筆したものが沢山出版されている。でも、自分は、中村天風オリジナルの「運命を拓く」を、しかも文庫本で読みたかった。そこで「運命を拓く」をジュンク堂で探したが、在庫は無かった。アマゾンでも売り切れだ。仕方なくアマゾンに申し込んだ。入荷は何と半月先だという。今日、その本がやっと届いた。巻末を見ると、2023年4月6日第71刷発行とある。大谷の生き方は世間の親たちにも大きな影響を与えているようだ。
岸田首相が再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議で「ペロブスカイト型太陽電池」と呼ばれる次世代太陽電池パネルを2030年までに普及させる方針を打ち出した。このペロブスカイト太陽電池を開発したのは日本人の宮坂博士とその弟子だ。薄くて軽量、曲げることもできる。宮坂博士には、ノーベル賞候補の呼び声もあがっている。でも、日本政府のアクションは遅すぎるのだ。日本の発明なのに、世界はすでに大きく動き出し、中国では大量生産への動きも具体化しているのだ。ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽くて曲げられる。発電効率はシリコン太陽電池に追いついた。ペロブスカイト太陽電池の発火点となったのは宮坂博士の論文「ペロブスカイトを可視光の増感に用いる太陽電池」だったという。この論文は世界各国の賞を受賞している。ノーベル賞も十分視野に入ってきたと見るむきもある。リチウムイオン2次電池の吉野氏に続いてほしいと思う。個人的には、かつてチタン酸バリウムのコンデンサー開発・製造に携わったことがある。チタン酸バリウムの結晶構造はまさにペロブスカイト。4~5年ほどペロブスカイトと向き合った経験がある。ペロブスカイトと聞くだけで、ペロブスカイト型太陽電池は成功してほしいと思って止まない。
トランプ前大統領がニューヨーク州の大陪審で起訴相当の票決を受け、検察に出頭し、裁判所に出廷した。米大統領経験者の起訴は初めてのこと。トランプが大統領を辞任した当時、すぐにでも逮捕されるだろうと言われていた。何故今になってなのだろう。大陪審が公開した起訴事実に関する文書によると、2016年の大統領選で自身に不利となる情報を改ざんし、第1級事業記録改ざん罪に当たると認定した。しかし、この件は連邦検察と連邦選挙委員会が立件できないと断念した経緯がある。大陪審は市民から選ばれた陪審員の多数決で決まる。反トランプ派の多いニューヨークだから起訴に持ち込めたのかもしれない。この先は極めて不透明だ。起訴された罪状は34件だが、トランプは全ての罪状を否認したとのこと。現在は34件の内訳は分からない。裁判が始まれば公開されることになる。トランプのかつての顧問弁護士は、選挙法違反罪などを認める司法取引に応じ、禁錮3年の実刑判決を受けた。現在は検察当局に協力する考えだという。一方トランプは、検察による政治的迫害だと訴えている。トランプの起訴は、少なくとも大統領選の妨げになる。片やバイデン側も多くの火種を抱えている。もし、トランプが大統領に返り咲けば、今度はバイデンの火種が発火することになる。米国大統領も地に落ちたものだと思う。いや、歴代の大統領も地に落ちていた。
国交省の強引な人事介入が問題になっている。羽田空港などで関連施設を運営する空港施設株式会社の人事に歴代国交省事務次官が絡んでいたのだ。国家公務員法の規定では、省庁による再就職のあっせんや、現役職員が利害関係企業に企業の地位に就かせることを要求・依頼する行為は禁じられている。経緯はこうだ。空港施設の取締役に天下りした国交省OBの山口が、自ら国交省の意向という趣旨の発言をして副社長に駆け上った。更に元国交省事務次官の本田勝・東京メトロ会長が有力な国交省OBの名代として山口を社長にするよう要求し社長に就かせた。そのOBとは、元事務次官の小幡正人と安富正文だ。これは、まさに法律違反だ。罰せられて当然だと思う。しかし、一方で天下りが全て悪いことだとも言えそうも無い。知人に東大出の都庁OBがいる。時々世間話をするのだが、都庁には東大グループというOBの集まりがあり、殆どの人は定年後民間会社の重役に転職しているのが当たり前のようだ。己の持つ人脈や技術を生かして会社に貢献しているらしい。優秀な人材を活用するのは、世の中のためにもなる。でも、紙一重だ。実力があっても権力が勝れば、悪ということになる。
栄養と食品学の学術誌Food Nutrition Researchによると、過去の論文データを分析した結果、毎日ひと握りのナッツを食べると心臓病リスクが約25%低減することを発見したとのこと。また、ナッツは血中脂肪の量を低減するが、血圧や血糖値には影響を与えないことも分かったという。以前から、ナッツは心臓に良いと言われている。それを数値でエビデンス化したという形だ。アメリカ食品医薬品局FDAでさえ、マカダミアナッツなどのパッケージに心臓の健康にいいと推奨するラベルを貼ることを承認している。心臓病にはいくつかのリスク要因があるが、9割は生活習慣病だと言われている。ナッツは飽和脂肪と不飽和脂肪の割合がよく、繊維質や葉酸、マグネシウム、植物ステロール、トコフェロールも含まれている。心臓の健康に役立つ栄養素がいくつも含まれているのだ。だからといって、ナッツの食べ過ぎは体重増加につながる恐れがあり心臓血管のリスクが増すことになる。ナッツをバランスの取れた食生活の一部として取り入れることがベストだ。炭水化物、タンパク質、高エネルギー食品が大部分を占める中のあくまで一部にナッツを入れるのが良いようだ。ジャンクフードの替わりにナッツを摂ればベストということになる。自分は期せずして、数年前からおやつに適量のナッツを食べている。以前は狭心症の気があったが、今は全く気にならない。
政府が「異次元の少子化対策」のたたき台を公表した。たたき台はまさにたたき台で、総花的だが核心を突いていない。茂木幹事長の児童手当の所得制限撤廃案を入れたり、菅前首相の出産費用の保険適用も入れた。自民幹部の思いつきがメインになり、それに育児休業給付を手取りの10割相当に引き上げることと、親の就労の有無にかかわらず、保育所を利用出来る制度を検討する等をプラスアルファで加えた程度だ。全く異次元のレベルではない。したがって、閣議決定は出来なかった。よって、政府は小倉こども政策担当相の試案との位置付けでお茶を濁すことになった。まあ、それだけならば、少し前進だろう。ところが、小倉こども政策担当相が蛇足を付けた。「こども家庭庁のもとで国民運動を今年の夏ごろをめどにスタートする」と言う。子連れの人たちが列に並ぶことがないよう「こどもファスト・トラック」を公共施設や銀行や商業施設などに設けるという。社会全体で子育てを応援する機運を醸成する狙いがあるとしているが、やぶ蛇だ。小池都知事の「○○ファスト」と同じ類いだ。かけ声だけで中身はゼロ。少子化対策とは、安心して子どもを産み育てる環境を整えることだ。「こどもファスト・トラック」が、国民に少子化問題を訴えるはずがない。むしろ、利用者から反感を買うマイナス効果しか無いのが何故分からないのだろう。
春の統一選の火蓋を切って41道府県と17政令市の議員選が告示された。議員選挙は人口比が原則で、是正するのは議会の役目だ。ところが、毎日新聞の調査によると、1票の格差が2019年の前回選よりも拡大しているとのこと。何と全体の8割に当たる36道府県と10市で、前回選よりも拡大している。しかも、28道府県と1市は格差が2倍超に達している。過疎地域で人口減少が進む一方、都市部で人口が増えたためだろう。6府県と5市は是正をしなかった。是正は議員自身の獲得票にダイレクトに影響する。是正を議会に委ねる仕組みそのものに問題がある。議員が関わらない第三者による是正システムの導入が必要だ。更なる問題もある。無投票当選の増加だ。全体の4割弱に上る348選挙区で定数を超える候補者がなく、4人に1人にあたる565人が投票を経ずに当選を決めた。議員のなり手もいないし、議員になっても格差を是正しない。日本の議会は荒むばかりだ。