高付加価値品へ転作が進み農業の生産性が上がっているとの日経記事。日本の農業の担い手が減り続けている。1950年に600万戸を超えていた総農家数は2020年に174万戸まで落ち込み、直近5年でも40万戸減少した。耕地面積も1960年から2020年にかけて28%減った。群馬県はキャベツ。大きさを選別する手間がなく、出荷用段ボールなどを用意する必要もなく、定額で買い取られるカット野菜に注力し、農業産出額が3割増になった。山梨県ではブドウ。価格が巨峰の倍近いシャインマスカットを増やし、収益性増減率で2位に入った。山形県では新ブランド米「つや姫」が産出額を下支えしている。サクランボの新品種「やまがた紅王」にも力を入れている。青森県のニンニクや茨城県のサツマイモも農地の稼ぐ力を上げている。農業産出額の王者は北海道で1兆3千億円。何と2位の鹿児島県の3倍近くで断トツだ。「ゆめぴりか」や「ななつぼし」は定着したし、酒米山田錦が北海道で作れるようになったのも努力の賜物だ。特産物に特化し、付加価値を上げる努力こそ、日本の農業を生き返らすコツなのだろう。とても嬉しい気持ちになった。
政府の新しいコロナ対策「BA5対策強化宣言」が波紋を広げている。重症化リスクの高い高齢者らへの外出自粛の要請がメインだ。しかし発令の主体は国ではなく都道府県。罰則も無い。山際経済再生担当相は「行動制限をするものではない」とは言うが、言わば、高齢者外出禁止令だ。BA5感染が爆発的に拡大している。今や日本は世界一の感染大国だ。でも感染は若年層が主体。高齢者は、3、4回目の接種で重症化予防が進んでいる。感染者数も少ない。現状でのコロナ対策の王道は若年層対策だ。若年層の感染を抑え込まなければ、下火になりそうもない。遅ればせながら、若年層の接種率を上げることと、感染が広がる行動を控えるよう強制または自粛を求めることだ。政府のコロナ対策は、対象が的外れ過ぎる。高齢者外出禁止令を出すと、動かないことにより、心身の働きが弱まる「フレイル」のリスクが高まる。高齢者は益々免疫を低下させられ病院のお世話になることになる。政府が高齢者外出禁止令を出す目的が病床数の確保であるのならば、病床数を増やすことが正道だ。BA5対策強化宣言は、余りにも苦し紛れ過ぎると思う。
安倍元首相が亡くなってから3週間が過ぎた。霞ヶ関の雰囲気が変わりつつあるという。アベノマスクの発注関係は闇に包まれていた。ところが、今まで存在しないと言われていた厚労省と業者とがやり取りしたメール100通以上が突然に見つかったと厚労省官僚が言い出した。五輪組織委員会の高橋元理事が紳士服大手AOKIから多額の資金提供を受けたことに東京地検特捜部が捜査を開始した。五輪関係の疑惑というのは、完全にタブーとされてきた経緯があるので、様変わりだ。旧統一教会の名称変更に下村元文科相が関わっていたかが問われている。官僚は前例を引き継ぐから、官僚一人で責任を持って名称変更をOKするはずがない。下村の圧力によると考えると腑に落ちる。更にその裏に安倍がいたと考えると、妙に納得する。要するに、安倍という重しが無くなったので、官僚の忖度という壁が崩壊し始めたのだろう。モリカケ桜も進展するかもしれない。
旧統一教会との関係について、自民内で仰天発言が続いている。安倍元首相の実弟である岸信夫防衛相が「旧統一教会とは付き合いもあり、選挙でお手伝いいただいている。選挙で勝つことが一番大切だから」とコメントした。こんな脳天気な発言をする防衛相で、日本の防衛は問題ないのだろうかと心配になる。下村元文科相は2015年に、旧統一教会の世界平和統一家庭連合への名称変更を許可した。宗教団体の名称は、実体の変更が無ければ認めてはいけないことになっている。今になって下村は全く関わっていないと否認した。文科省では大臣抜きに物事が進められるのだろうか。否認すればするほど、強い政治的思惑が見えてくる。細田衆院議長は旧統一教会の総会に出席し持ち上げた。一方で今若手勢力の筆頭である福田総務会長が「何故こんなに騒いでいるのか、何が問題なのか分からない」と発言した。旧統一教会と自民党が癒着するのは当然必要と言っているように聞こえる。火に油を注げば、後日釈明するのは必然だ。彼等の発言から見えてくるのは、旧統一教会の影響力は極めて深刻な状況にあるということだ。
図らずも、安倍元首相の死で、旧統一教会と自民党との癒着が明らかになってきた。旧統一教会と岸元首相との関係が始まりだ。その関係は、その後安倍晋太郎、安倍晋三へと続き、弟の岸信夫にまで至っている。旧統一教会は霊感商法で摘発されカルト集団と認定された。その後、地に潜り政治家との接触を開始した。旧統一教会の武器は、無償で献身的な選挙応援。何と旧統一教会と関わりがあった現職国会議員は101人に上るという。殆どが自民党で、中でも安倍派が最も多い。旧統一教会の票は領袖が握っている。安倍がその票を割り振っていたという。道理で安倍が選挙に強いはずだった。自分は、一般論で言うと、政治と宗教は結びついても良いと思う。但し、カルト集団は絶対排除しなければならない。今回の旧統一教会騒動は、旧統一教会がカルト集団ゆえだと思う。政治家は、旧統一教会がカルト集団であることを知らない訳がない。カルト集団と知りながら、政治利用した政治家は道を踏み外している。即刻退場すべきだと思う。マスコミは、膿みを出し尽くすまで徹底的に焦点を当てる責務がある。
2021年末に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が早速成果を披露した。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とは、NASAが中心になって開発した赤外線観測用宇宙望遠鏡だ。望遠鏡の設計と開発に88億ドル、打ち上げ後の運用に9億ドル、併せて97億ドルと言われているから、そのスケールの大きさが分かる。原理はドップラー効果を利用している。宇宙は膨張しているから、天体は遠ざかっている。地球から見るとドップラー効果で、天体の発する光が伸され、波長の長い赤色に近づく。その波長の伸び具合を測る事で、天体までの距離を逆算することが出来るのだ。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、これまでで2番目に遠い天体を発見したという。その距離は333.1億光年。既に見つかっている1番目の天体はすばる望遠鏡などの複数の天文台の観測データを1200時間かけて解析したものだが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は単独観測で、しかも測定時間は十数時間しかかからないとのこと。強力な研究手段と言えそうだ。この宇宙望遠鏡で天体研究は飛躍的に加速しそうだ。
日本電産の株価が低迷している。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだった永守会長だったが、今では社内で四面楚歌の状況にあるようだ。日本電産と言えば、永守商店と言われるワンマン会社だ。脱永守商店を進めなければ今後の成長はない。後継選びのため、シャープ社長や三菱商事常務執行役員を採用したが、眼鏡に合わず退任。現在は日産から引き抜いた関氏が社長を務めているが、辞任は目前だ。永守会長は幹部に「計画達成のためには部門長は社員の先頭になって休日返上で、率先垂範で当たること。休むなどもってのほか」との檄文を送ったというから、頭の中は相当時代遅れだ。今どき、こんなワンマン会長に迎合する輩などいるはずがない。かつてのカリスマは老害をまき散らしているのだ。生え抜きの幹部らも愛想を尽かしているようだ。ワンマン社長と言えば、自分が最後に所属した子会社を思い出す。その社長もワンマンそのものだった。確かに、社内で一番会社のことを考えているのは間違いない。でも、我が強い。自説を押し通す。結局、幹部は何事もワンマン社長の決済を仰ぐ。嫌な風土だった。だが、自分は意見具申した。意外にも社長とはソリが合った。しかし、退社した。退社の理由は3つあったが、ワンマン風土はその1つだった。
岸田首相が、今夏以上に電力の需給が逼迫するとみられる冬場に向け、原発の稼働を9基に拡大する方針を表明した。更に、並行して火力発電の再稼働も加速させることで「政府の責任においてあらゆる方策を講じ、将来にわたって電力の安定供給が確保できるよう全力で取り組みます」と政権のリーダーシップをアピールしてみせたとのニュース。決断だと評価する声もあるが、何か変だ。現在、国内にある原発は33基。このうち原子力規制委員会の安全審査を通過し、稼働可能な状況になっているものは10基。原子炉等規制では13か月に1回、定期検査を義務づけているから、10基の同時可能な時期はない。冬場の稼働数が最大となるのは2023年1月下旬から2月上旬の1ヶ月間だけ9基の稼働が可能になる。岸田発言の問題点は2つある。1つは、寒波が襲来した場合として、経産省の見積もりには既に原発9基の稼働が織り込まれていることだ。電力会社も既に織り込み済み。何を今更という訳だ。国民は騙されているが、電力会社は白けている。リーダーシップ力ゼロ。もう1つは、冬場の電力不足を乗り切る方策が無いこと。火力発電は、廃棄の事後承認制を事前承認制に変えたが、時既に遅し。廃棄した火力は戻らない。問題点は2つと言ったが、正確には1つ。岸田には、喫緊の問題を自ら解決する力が無いことに尽きる。コロナ第7波対策も同じ。
東京五輪の1周年記念セレモニーが国立競技場で行なわれた。小池都知事は「成功」と総括し「多くのレガシーを残した。大会を経て、東京は新たなスタートラインに立った」と挨拶したとのこと。6割の国民が、新型コロナ禍の下で強行開催された五輪を「よかった」と評価しているというから、成功なのかもしれない。でも、国民は、競技が行なわれたこと、無事に済んだことに対し「よかった」と言っているに過ぎない。今後の事は考えていない。多くのレガシーは残ったのだろうか。都は2900億円をかけて7施設を作った。でも有明アリーナ以外は赤字が予想されるのだ。国立競技場に至っては、維持費だけで年間24億円もかかる。サッカー、ラグビーだけでは賄えない。屋根が無いからコンサートには不向き。サブトラックが無いから世界選手権大会は開けない。無観客となりチケット収入900億円の財源をどう穴埋めするのか。結局、負のレガシーを残し、都は新たな苦行のスタートラインに立った。これらを後にして、小池都知事はやがて都を去っていくのだろう。
「こども家庭庁」の設置関連法案が可決され、2023年4月に設置されることになった。日本でのこども関連の所管は、文科省、厚労省、内閣府に分割されていて、まさに縦割り行政そのものだ。その弊害を無くすため統合しようとするのだから目的そのものは正しいと思う。ただ問題は経緯だ。当初「こども庁」が検討された。いじめやネグレクトに焦点が当てられ、家庭からこどもを守るのが目的だった。だから名称を、こども「家庭」庁ではなく、家庭を切り離し「こども庁」に拘ったのだ。ところが、自民党の分科会で座長を務めた加藤勝信・前官房長官が唐突に「子どもは家庭を基盤に成長する。こどもまんなか政策を表現しつつ、こども家庭庁とさせてほしい」と発言し、急遽「こども家庭庁」への変更が決まったのだ。ところが、旧統一教会の国際勝共連合のHPに「心有る議員・有識者の尽力によって、子ども政策を一元化するために新しく作る組織の名称が(こども庁)から(こども家庭庁)になりました」の文言が載ったのだ。平たく見れば、旧統一教会が加藤勝信・前官房長官を使って名称変更を実現させたと言える。これ程までに、旧統一教会は日本の政治を陰で動かしているのだ。しかし、自民内部から旧統一教会排除の声は挙がらない。根は相当深い。
知床の観光船事故で国後島とサハリン島で発見された3人の遺体が未だに日本に引き渡されない。事故から3ヶ月も経過しDNA解析で本人と確認されているというのに。身元確認後、速やかに母国への帰還手続きが取られるのが通常だ。当初ロシアは空路での搬送に難色を示したので、洋上での遺体引き取り案を示したが、これにも難色を示しているという。恐らく、ロシアの極東責任者がプーチンに気遣って身動きが出来ないのだろうと推測される。こんな時こそ安倍元首相の出番だったのにと悔やんでならない。安倍元首相が亡くなったのは2週間前だ。安倍はプーチンと27回も会談を重ねてきた。言わばツーカーの仲だ。それを生かし、亡くなる前にプーチンに一言入れておけば、遺体の引き取りは実現していたはずだ。安倍はウクライナ侵攻が始まった時も、プーチンの説得を拒んだ。観光船事故の遺体引き取り交渉にもノータッチだった。宝の持ち腐れだ。いざという時に役に立たない政治家は無能と言える。一方で、安倍の拙速な国葬は現実化している。国葬は安倍の歴史的評価が確定してからの方が好ましいと思う。
大阪万博の公式キャラクターの名称が「ミャクミャク」に決まったとのニュース。約3万3千件の応募があったという。「ミャクミャク」には、歴史や伝統、文化、世界とのつながりを「脈々」と未来に引き継ぐとの意味を込めたという。それにしてもミャクミャクは、気持ちの悪いキャラクターだ。中に青い目のある赤い球が複数繋がったロゴマークを擬人化したものがキャラクターに選ばれた。そもそも、ロゴマーク自体が気持ち悪い。コロナ対応でテレビに出ていた吉村知事が胸に着けていたときから、どういうセンスを持っているのか不思議だった。それが進化して擬人化したのだから、益々気持ちが悪くなってきた。万博は2025年4月に開幕する予定だ。大阪万博は成功するのだろうか。ロゴマークとキャラクターを見ている限り、成功するとは全く思えない。
「80歳の壁:和田秀樹:幻冬舎新書」は、今後の老人医療の在り方を的確に示唆していると思う。その温厚そうな和田氏が珍しくある公人を面と向かって非難している。その公人とは、中村警察庁長官だ。いや、正確に言うと、中村氏を警察庁長官とした人事を批判している。中村警察庁長官と言えば、刑事部長時代に山口元TBS部長のレイプ事件の逮捕を直前に「天の声」を発しもみ消したことで有名だ。山口は安倍・菅のゴマスリ男だったから、安倍・菅が中村を警察庁長官に指名したのだろう。和田氏曰く「中村のキャリアは、治安ではなく、交通畑とか捜査二課の知能犯が対象。中村は警察庁長官になってから、交通取り締まりとポルノ弾圧しかやっていない」と。更に「同級生で治安の第一線で活躍した吉田尚正氏が警察庁長官になっていれば、安倍狙撃は防げたに違いない」とダメ押ししている。和田氏の言が正しいとすれば、結局安倍元首相が凶弾に倒れたのは、因果応報と言える。統一教会とはお祖父さんの岸信介時代から関わりがある。これも因果応報の一つかもしれない。
スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサは大統領職を辞してモルジブへ逃げてしまった。スリランカは見事に中国の罠に掛かってしまったと「真珠の首飾りとは」に書いた通りだ。中国はシテヤッタリとする反面、スリランカのGDPの12%にあたる投資額1兆5千億円が貸し倒れになるリスクを負っている。中国は多くの弱小国に多額の投資を行なっている。その国のGDPの10%以上を投資している国が47カ国ある。総額52兆円だ。その筆頭がラオス。何と1兆7千億円を投資し、GDPの65%に当たる。ラオスに続き、コンゴ、ギニア、アンゴラ、ジプチ、モルジブが40%以上だ。特にラオスは昨年、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりだ。第二のスリランカになるのは時間の問題だろう。さて、中国は52兆円の貸し倒れ候補に怯えているかもしれない。でも、見方を変えれば、52兆円で47カ国の支配が可能になる。廉い買い物にも見える。でも、やがて各国民は中国を敵視することになるはずだ。結果として、効果はプラマイゼロ、いやマイナスになると思うのだが。
中国新疆ウイグル自治区の再教育施設に関する中国共産党幹部の発言記録や、収容施設の内部写真、2万人分以上の収容者リストなど、数万件の内部資料が流出したとのニュース。公安当局のコンピューターに保存されていたもを、第三者のハッキングで入手し、在米ドイツ人研究者ゼンツ博士に提供されたとされている。流出した内部資料は、情報提供を受けた世界の14のメディアが取材・確認を進めた上で、取材結果を共有して検証の精度を高めたとのこと。自治区トップの映像「海外からの帰国者は片っ端から拘束しろ。数歩でも逃げれば射殺せよ。わずかな領土でも中国から分裂させることは絶対に許さない。習総書記を核心とする党中央を安心させよ」が残っている。ジェノサイドが行なわれたことの実証になる。中国当局は、イスラム教の過激思想の影響を受けた人物によるテロ行為を防ぐために職業技能教育訓練センターと呼ぶ再教育施設を設置したが、2019年後半に運用を終えたとしている。もし、本当であるのならば、中国は即刻ウイグル自治区の現状を公開すべきだと思うのだが。
中国では「潤学(ルンシュエ)」という言葉が流行り始めているという。中国語で「潤」は、漢字の通り「潤い、利益」などを意味する。発音がrunなので、英語のrunに通じ、昨今は「海外へ脱出する、逃げ出す」という隠語になった。現地の口語では「快適に暮らす」という意味もある。つまり「潤学」とは、快適な海外への脱出を成功させるための知識とノウハウを勉強することを指すのだ。コロナ感染者数は僅かなのに中国の主要都市では長期間ロックダウンが行なわれた。経済は止まってしまったし、医療へのアクセスや食糧を得るにも困難が伴う。その結果、中間層や富裕層は中国に見切りをつけ脱出を図るのだ。彼等から見れば、中国は変えようがないし、非難することも出来ない状況なのだ。まさに結論は逃げるしか無いのだ。ところが、当局はこの動きを牽制するため、出国の制限を始めた。潤学を学んでも、出国は出来そうもない。せめて「快適に暮らす」ことを念頭に、権威主義の是非を己に問うてみたらどうだろうか。少しは変わるかもしれない。
霊感商法とは、霊感があるかのように振舞って、先祖の因縁や霊の祟り、悪いカルマがあるなどの話を用いて、印鑑・数珠・多宝塔などを法外な値段で商品を売ったり、不当に高額な金銭などを取る商法だ。その代表格が旧統一教会と言われている。以前は専ら霊感商法で稼いでいたが、ある時点で摘発された。旧統一教会は、摘発を受けたのは政治家との繋がりが無いためだと反省したようだ。その反省を踏まえ、その後は政治家との繋がりに専念し、政治献金や選挙時の無料奉仕などで政治家との繋がりを強化してきたと言われている。だが、一般庶民にはどの政治家と密なのかは分からない。せめてその名が分かれば、投票の時に参考になると思うのだが。ところが「日刊ゲンダイ」が、旧統一教会と関係のある国会議員のリストを入手し公表した。衆院議員78人、参院議員20人が統一教会系の団体等との何らかの関わりが確認された。自民が多いが、野党でも立憲民主党6人、日本維新の会5人、国民民主党2人が関わりを持っていた。その名は歴史に刻むべきだと思う。
「映画を早送りで観る人たち:稲田豊史:光文社新書」が売れているという。映画を倍速で観るのは、背景に現代社会が抱える余裕の無さがあるからだという。でも、自分は余裕の無さではなく、合理性だと思う。多くの学生がコロナ禍でリモート授業に慣れてしまった。生の授業は無駄な時間が多いことに気付いた。カッタルイのだ。講義を早送りで受講した方が、要領よく理解出来ることを学んだ。だから映画もという訳だろう。自分はテレビで推理物、刑事物を観ることが多い。しかも録画してCMはカットする。CMをカットするだけで物語の筋が鮮明になるメリットがある。作品のテンポは日本製と米国製では顕著に違う。「刑事7人」などは、無駄な画像が多い。主人公が眉間にしわを寄せて事件を推理する。でも、何を考えているのか全く分からない。情緒過ぎる。時間の無駄だと思う。一方、エレメンタリーホームズなどは、何を考えているのかという時間を作らない。考えていることを具体的に映像化し、テンポも速いし、材料も豊富だ。観ていて飽きない。アッという間に物語が展開する。古代から現在にかけて、時間は短くなってきた。これからも更に短くなるだろう。複雑な事象に対処するには合理的だからだと思う。
福島原発事故の株主代表訴訟裁判で、東京地裁は旧経営陣4人に対し東電に賠償金13兆円を支払うよう命じた。原発事故を巡る旧経営陣の責任を認めた判決は初めてで、国内の裁判の賠償額としては過去最高。画期的な判決だと思う。争点は、巨大津波の予見が可能だったかと、浸水対策などで事故を防げたかどうかだった。国は15mの巨大津波を試算していたが、経営陣は「信頼性が無い」と無視をした。東電の会議でポンプ浸水防止、建屋の防水性の向上などが挙げられていたが「読んでいない。記憶に無い」を繰り返した。傍聴席では失笑が起きていたという。裁判長は、善管注意義務の欠如と断言した。原発は一度事故を起こせば、広範で深刻な被害を及ぼす。だからこそ経営陣は安全性の確保にできる限りの注意を払わなければいけないと断じた。要するに裁判長は、経営陣の無責任さに頭にきたのだろう。この判決のお陰で、今後は電力会社に限らず経営陣の安全管理責任が追及されることになる。重点が社内の論理から社会の論理へ移るきっかけになる。この判決は13兆円以上の価値があると思う。
旧統一教会の田中会長が会見を開いた。「旧統一教会と安倍元首相がビデオメッセージを寄せたUPFは別組織。山上容疑者は旧統一教会とUPFを混同したのだろう。2009年以降はコンプライアンスを徹底しており、トラブルはない」と説明した。如何にも清い宗教活動しかしていないと述べている。ところが、悪徳商法やカルト集団による被害者救済で、その名を広く知られる紀藤正樹弁護士は、全面否定している。旧統一教会とUPFの実態は一体で、2009年以降も約4000件の被害相談があり、被害額は計約175億6000万円に上るという。今回の事件の遠因を作り出した問題点は非常に大きいと指摘しているのだ。田中会長の会見を一言で言えば「よー白々しくも、いけしゃーしゃーと」ということだろう。旧統一教会には、表と裏の顔がある。田中会長は表の顔を説明しただけに過ぎない。これを機に、被害者らが声を挙げ、マスコミと弁護士らが協力して、裏の顔を曝き出し、被害を無くす努力が必要だ。
東レとDIAMONDonlineのバトルが続いている。DIAMONDonlineがスクープした、東レがUL規格を不正取得しその事実を隠蔽し続けたことは「火消しあれこれ」に書いた。その火消しを図っていた日覚社長が株主総会を賛成比率64%でギリギリ切り抜けたことも「火消しあれこれ2」に書いた通りだ。社風というものは一朝一夕には変わらないと書いたが、東レは再度DIAMONDonlineからスクープされた。1つは、株主総会で品質不正を陳謝しながら、新たな建築材料の品質不正を隠蔽していたこと。もう1つは、取締役の3分の1以上を独立役員とすることが要件である東証プライム基準を満たしていないこと。1人の独立役員は利益相反の立場にあり、独立役員とは見做されない恐れがあるのだ。日覺社長は公益資本主義に心酔している。その独立役員とは公益資本主義の提唱者のファンドのNO2であり、そのファンドに対し東レは出資しているのだ。明らかに独立役員とは言えない。東レは東証プライム基準を満たさず、東証プライムから排除される可能性がある。因みに、公益資本主義は、岸田首相の掲げる「新しい資本主義」の理論的な骨格となっている。日覺社長は最後には岸田首相に泣きつくのかもしれない。
民放各局で「ACジャパンのCM」が急増している。安倍ショックで広告業界も大混乱だ。通常のCMからACジャパンに切り替わっているが、民放各社の意思によるものではなさそうだ。クライアントからCM放送中止の連絡がひっきりなしにきているという。浮かれたCMを流すのはかえって評判を落とすのではないかと企業側の思惑が働いているためらしい。ACジャパンのCMは奥が深い。「最後の一粒までちゃんと食べなさい。そうではありません。最初の一粒もない子供がいます」は、飽食の日本はこれで良いのかと迫ってくる。「言葉は弾丸にもなる」は、相手への思いやりの戒めになる。「思いは見えないけれど、思いやりは誰でも見える」は、心にジンとくる。そう言えば、東日本大震災の時も、多くのACジャパンのCMが流れていた。「今私に出来ること」を思い出す。多くの著名人が皆で大震災を乗り越えようと、呼び掛けていた。「考えさせられるCM」は、平常時にも各局が枠をとって流すべきだと思う。
安倍元首相を射殺した犯人が、犯行の動機は家庭を崩壊させた統一教会と安倍元首相が関係があるからだと自白している。確かに安倍率いる清和会は統一教会と近しい関係にある。殆どの保守系政治家は、日本会議、神道政治連盟、統一教会と接点がある。政治献金や集票でズブズブの関係にあるからだ。ところが、岸田は「民主主義の根幹たる自由で公正な選挙は絶対に守り抜かなければならないと思っている。決して暴力に屈しない」と発言した。山口公明党代表は「参議院選挙の最中に言論を封殺するような暴力行為が行われた。これは厳しく断固非難する」と語った。そして松井日本維新の会代表までもが「民主主義っていうのは、暴力では止められない」と述べた。各党の代表が一様に民主主義、言論の自由を暴力によって封殺することに対する怒りをあらわにしたのだ。でも、ちょっとおかしくはないか。犯行の動機は家庭の崩壊だ。民主主義とは関係ない。言論の自由も犯されていない。問題をすり替えようとしているように映る。この際、マスコミは宗教団体の政治献金の問題点に焦点を当てるべきだと思う。
安倍元首相が銃撃され死亡した。まずは、お悔やみ申し上げる。今日のテレビには四六時中、銃撃され犯人が確保される画像が流され続けた。映像を見ていて、何故SPは背後の警備を怠ったのだろうか。通常の警備をしていれば、悲劇は避けられたのかもしれないと思った。テレビで、それを得々と指摘する池上彰に品の無さを感じた。事件が起きたのは11時半頃で、直ぐさま県立病院に搬送された。心肺停止との情報。昭恵夫人が東京から駆けつける。恐らく間に合わない。こういう時は、夫人が到着し見届けてから死亡を発表するものだ。それが暗黙の了解で、世間の常識だ。ところが、レイプ事件で罪が確定した山口元TBS部長や作家の百田尚樹は、夫人の到着前に死亡したとの情報を流した。己の情報力の凄さを誇示するための行動だったのだろう。安倍氏の死亡より大事なものを優先したのだ。非常時になると、人間の本性が現れるものだ。一方で、死んだ人の悪口を言わないのは、世界の共通認識だ。安らかにお眠りになることを願う。
ついにジョンソン英首相が辞意を表明した。ジョンソンは学生時代から、確立されたルールや慣習に捕らわれないのが信条だった。首相の3年間で、ブレグジットを主導し、香港市民へ特別ビザを発給し、ウクライナ軍事支援もいち早く打ち出した。非凡な人物が意志と人格で歴史を変えるという英雄史観を持っていた。非凡であることは間違いない。尊敬している人物はチャーチル。チャーチルは、確固たる歴史観を持って細部にも注意を払い、慣習を尊重した。でも、ジョンソンは、歴史には精通していたが自己中心的で経験と勘に頼った。だから、チャーチルにはなれなかった。政権運営は綱渡りだった。政策よりスローガンを好んだ。この点だけは岸田首相と似ている。結局、ロックダウン規制を自ら破りパーティーに参加したことや、不適切な任命で、順法精神と誠実さの欠如が問われ、辞任に追い込まれた。ジョンソンは言わば欠点だらけの人物ではあるが、リーダーシップ力だけは優れていた。英国は順当な判断をしたと思う。
「真珠の首飾り」と言っても、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のことではない。「真珠の首飾り」とは、中国がインド洋諸国で港湾インフラを支援する戦略を指している。将来的にインド太平洋地域に真珠の首飾りのように軍事港湾施設を作ろうとする戦略だ。まさに一帯一路の真の戦略なのだ。中国はインド太平洋地域で統治やレジリエンス、政治的不安定さの面で問題を抱える国々を標的にしてきた。貧しい国に過大な投資を勧誘し、一時的に経済を活性化させた後、経済破綻した国を支配するのだ。その代表であるスリランカがついに破産宣告をした。破産の要因は、中国の一帯一路戦略、コロナによる観光業の壊滅、ロシアのウクライナ侵略によるエンルギー価格の高騰だ。コロナ、エネルギーは世界各国共通だが、最悪なことにスリランカには一帯一路の過剰投資による財政負担がのしかかってしまったのだ。スリランカも大変だが、スリランカの後にはアフリカ諸国が続くことになる。しばらくすれば、この反動は中国に途轍もない衝撃をもたらすに違いないと思う。
ガソリン価格の高騰が止まらない。6月末のレギュラーガソリン全国平均小売価格は、1リットルあたり174円90銭だ。政府は小売価格を抑えるために、石油元売り会社に補助金を支給している。岸田首相は「1リットルあたり210円であるところ、170円程度の水準に抑えている」とアピールしているが、補助金政策は妥当なのだろうか。今年1月の当初、800億円を盛り込み1リットルあたり5円を支給した。3月中旬から、25円に引き上げ3600億円を充てた。それが35円、45円となり、総額1兆6000億円を超え、当初予算の20倍に膨らんだ。勿論財源は赤字国債だ。一方、財務省の試算によると、ガソリン税を一時的に引き下げるトリガー条項の凍結を解除し発動した場合、税収減は1兆5700億円になるという。今となれば玉木国民民主党代表が主張したトリガー条項の凍結解除が正解だったのだ。結局、財務省が税収を温存し、赤字国債を増やすことになった。未来の負債がまた増えた。玉木は財務省の体質を糾弾すべきだと思うのだが。
電力需要が逼迫している。政府が節電を呼び掛けている。松野官房長官が「使用していない部屋や廊下の照明を消す、店舗の照明を間引く、冷蔵庫に食品を詰め込みすぎず、設定を強から中に下げるなどできる限りの節電、省エネにご協力をいただきたい」と呼び掛けているが、何か変だ。官房長官が電力について発すべき事は、これではなく、電力確保の説明だ。それが無いからとても不安だ。テレビが節電のためスタジオの照明を落としているとのテロップを流している。でも、いつもの画面と明るさは変わらない。ほんの少しだけ言い訳程度に落としたのか、元々煌々とし過ぎていたのかのどっちかだ。いずれにしても節電の努力は感じられない。免許センターが寒すぎるほど冷房を利かしているという。市役所も新幹線も寒すぎる。節電とは庶民に背負わせるもので、公共施設はフリーというのが、我が国の節電対策なのかもしれない。政府は、もういい加減に電力供給の道筋を示すべきだ。
日経新聞の記事「コメ減収補填に必要ない予算」が目に留まった。2008~2020年度に計9533億円の予算を組んだが、支出の累計は1408億円に留まったとのこと。何と予算執行率は15%だ。こんな予算の組み方があるのだろうか。予算が余ると、一般会計は国庫に戻すが、この交付金は特別会計で翌年度に繰り越すことになっている。一般会計で予算が余ることは極めて稀だ。役所は絶対予算を余らせない。余った実績を残すと、来年度は削られるからだ。この体質は、これはこれで問題だ。でも、コメ予算はもっと問題がある。特別会計で農水省の管理下にある。しかも、余っても繰り越すことが出来る。この問題の深刻さは、農水省は余っているのに、次年度も同様な予算を要求する。しかも、それが通るのだ。農水省経営安定対策室は「今後価格が急落する可能性はある」と予算維持の必要性を強調しているというのだから、開いた口が塞がらない。一般会計と特別会計を統合し、国会で予算を見える化させる必要があると思うのだが。
今日は一日中au通信障害が発生し、夜になっても解消されなかった。自分のスマホはjcomだが、au回線を使っているので圏外表示され使い物にならない。仕事や決済に使っている人は、大迷惑だったに違いない。通信障害は色々な問題を露わにする。中日スポーツの記事が面白い。スマホがダメなら公衆電話だ。でも、公衆電話ってなんですか? どこにありますか?と言う人もいる。お金を入れても返ってきてしまうと嘆く人。受話器を上げてからお金を投入しないと使えないことも知らないようだ。更に、公衆電話の使い方を調べようとスマホをいじったが表示されないと嘆く人。無限ループに陥っていく。若い人は公衆電話の存在も使い方も知らないことを、改めて認識した。そこで昔を思い出した。ガラケーを使うようになったのが30年くらい前。公衆電話が主流だった。テレホンカードが溢れていた。お礼としてテレカを贈るのが常識だった。中にはホールインワンの記念としてテレカを配る人もいた。通信障害で、自分が公衆電話の達人のように思えてきた。
現状の参議院は殆ど機能していない。わざわざ選挙する値打ちも無い。でも、投票は国民の義務だ。と言うことで、期日前投票に行ってきた。驚いたのは比例代表の党名の略称だ。立憲民主党と国民民主党が同じ略称である「民主党」を申請していたことはニュースで知っていた。でも、投票所に行くと、現実に2つの「民主党」が存在していたのだ。昔は同じ民主党だったが、今や立憲民主党は殆ど社会党で、国民民主党は自民党だ。水と油ほど違う。立憲民主党も国民民主党も昔の名前「民主党」にすがるのは良く分かる。両党とも昔の勢いは全く無いのだから。そもそも選挙のルールが間違っていると思う。同じ略称を認めること自体が間違っている。受付順でもジャンケンでも良いから、1つだけを認めるべきだ。前回の衆院選では「民主党」と書かれた票が362万票以上に上り、両党に案分された。主義主張の異なる党に按分されること自体が大問題だ。それが今回の参院選でも繰り返される。選管は何をしているのだ。怒。