2015年11月

出だしで躓いた新型車両

山手線の新型車両が今日から営業運転を開始した。大崎駅15時18分発の外回り列車からスタートし、大崎駅では出発式が行われたとのニュースが流れた。鉄道ファンが集まり大混雑になったようだ。ところが、営業初日にトラブルが相次ぎ午後11時前に営業運転を打ち切ったとのこと。真面目に試運転で不具合を確認改善していなかったのだろうかと些か不安になった。新型車両のキーワードは「お客さま、社会とコミュニケーションする車両」とのこと。道理で前面はスマホのように見える。車内には車椅子やベビーカーのスペースがある。中吊り広告を止めてパネルにしたが、宣伝費が高くなるというクレームがあり一部中吊り広告を復活したようだ。まあ一度機会があれば乗ってみようかと少し思った。ネット記事には、新型車両に空気洗浄機も搭載されており、車両天井部からナノイーnanoeが放出され、車内の快適な空気環境を提供するとのこと。このナノイーが気になった。調べてみると、パナソニック製のマイナスイオンのこと。パナソニックの宣伝文句には、従来のマイナスイオンは大きさが1nmで寿命が数十~100秒だが、ナノイーは5~20nmで寿命が600秒と記載がある。だが寿命が長いほど効果があるとは書いてはいない。一方、マイナスイオンは眉唾物だと「この世の常識は仮説だらけ:竹内薫:静山社文庫」に書いてある。マイナスイオン信仰は日本だけの現象で、米国では半世紀も前に、効果が認められずに「健康に良い」という記載は禁止になっているとのこと。更に身体に毒なオゾン臭がする場合があるので、スイッチは切っておいた方が良いだろうと助言している。新型車両の不具合続きで、オゾンが発生しなければ良いのだがと思わず取り越し苦労をしてしまう。

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4回転ジャンプの世界

フィギュアスケートのグランプリシリーズ最終戦のNHK杯で、羽生選手が何と前人未到の322.40点で優勝した。観衆は「神が舞い降りた」と褒め、解説者は「陸上の100mを8秒台で走るようなレベル」と言い、本人は「絶対王者だと言い聞かせながらやっていた」とコメントした。採点法が変わったとはいえ、新境地を拓く出来栄えだったに違いない。高得点の要因は間違いなく4回転ジャンプだ。フリーでは3つの4回転ジャンプを危なげなく決めた。自分はフィギュアスケートに詳しくないので、4回転ジャンプは1種類しかないものと思っていた。ところが6種類もあり、難易度の高い順から、アクセル、ルッツ、フリップ、ループ、サルコー、トゥループだという。羽生選手が決めたのは4回転ジャンプの中でも難易度の低いサルコーとトゥループだったようだ。羽生選手が大会後に「更なる上を目指す」と言っていた言葉の意味がようやく理解出来た。世の中には上に上があるもので、2位に入った中国の金選手の4回転ジャンプは羽生選手の上を行くルッツだったとのこと。フィギュアスケートのジャンプは6種類あり、しかも難度の序列があることを知り、バルセロナで開かれるグランプリファイナルをテレビ観戦するのが楽しみなった。頑張れ羽生選手。

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距離感の不思議

最近気付いたことがある。我が国での長さの単位はメートル。メートルとは国際単位系でかつMKS単位系における長さの物理単位だ。ギリシャ語のメトロンからの造語で、仏語はメートル、英語はメーター、漢字では米。パリにはX型の断面をしたメートル原器があると、小学校で習ったことを思い出し懐かしく思う。ところが、日本の中で、メートルではなく、ヤード表示の世界も存在している。誰でもお馴染みのゴルフの世界だ。だが、最近気付いたこととは、ゴルフのヤーデージのことではない。若い頃はゴルフの何が面白いのかと思っていた。地面の上に止まっている球を、いい年をした大人がひたすら打って穴に入れるだけの単純な遊びだと思っていた。ところが、やり初めてみると、相当奥が深く面白い。そして最初に出くわした煩わしさがヤード表示だ。ゴルフ場は何処に行ってもヤードで表示されている。慣れないうちは、1ヤードは90cmだから、100ヤードは90mと頭の中で換算していた。そのうち慣れてくると、140ヤードだから7番アイアンで打とうと、ヤード主体で番手が決まってくる。ところが、ところが、なのである。ひとたび球がグリーンに乗ると、カップまであと2メートルだなと思う。何とヤードがメートルに自動的に切り替わるのだ。自分だけかと思っていたら、そうではない。プロゴルフ大会の解説者も、グリーン上ではメートルで解説する。最近気付いたこととは、ヤード表示のゴルフでもグリーン上はメートル表示になるということだ。一つの同じ競技なのに、飛ばす時はヤードで、転がす時はメートルに変化する。驚きの発見だ。更に気付いたことがある。松山選手を除けば、海外トップ選手並みにパットの上手い日本選手はいない。この要因は間違いなく、日本人選手のヤード/メートルの切り替えの煩わしさにあるに違いないとの結論に至った。もっとも単なる勘違いかもしれないが。

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薄っぺらなノーベル賞経済学者

日経朝刊の「経団連が国に異例の回答」という記事に目が留まった。政府が開いた官民対話で、安倍首相は経団連に強く設備投資を迫り、榊原経団連会長は設備投資を3年間で10兆円増やすと回答した。要求する首相も酷いが、回答した榊原の無責任さも目に余るものがある。元来経済活動に官が民に介入すべきではない。官民対話が歪み過ぎて、まさにここに極まれりという状況だ。では何故首相は強引に設備投資を求めるのだろうか。答えは簡単だ。海外ではアベノミクスが既に失敗に終わったと評価されているからだ。GDPが2期連続マイナスになった。政府は「景気回復の動きが足踏みを続けている」と言っているが、少なくとも欧米の経済学界では「景気が下降局面に入った」と判断している。アベノミクスにとっては更なる究極のダメ出しがある。アベノミクスの理論的基礎を提供したリフレ派のノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンが、その自説の誤りを認めて撤回してしまったのだ。日本は生産人口が減るから、お札をいくら刷っても日本経済は回復しないと言い出した。だが日本の少子化は世界中の誰でも知っている。今更少子化という前提が抜けていたからなどという言い訳は通用するはずがない。クルーグマン説の受け売りの浜田参与も「世界が日本経済をうらやむ日:浜田宏一:幻冬舎」ではアベノミクスを称賛しているが少子化には一切触れていない。浜田もハシゴを外された一人に違いない。一方既に2010年刊行の「デフレの正体:藻谷浩介:角川oneテーマ21」で、デフレは少子化によるものと発表されている。当時この本は話題に上ったが、少子化になればデフレになるのは当たり前だと極めて評判が悪かった。それほど当たり前の前提が抜けていたのがアベノミクスの正体のようだ。早急に軟着陸点を見つける必要がありそうだ。

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親子鷹と親子禿鷹

「親子鷹」と言えば、子母澤寛の小説が有名だ。勝海舟と父の波瀾万丈な人生を描いている。辞書を引くと「親子鷹とは、一つの目標に向かって努力する父と息子をいう語」とある。先日、北大路欣也が親子2代で旭日小綬章を受賞した。北大路欣也の映画デビュー作が「親子鷹」だったのは何かの因縁なのだろう。まさに父親の市川右太衛門と北大路欣也は現代の親子鷹に違いない。ところが、ごく最近種類の違う鷹が現れマスコミを賑わしているようだ。かつて誠備グループという投機集団を率いて「兜町の風雲児」と呼ばれた相場師の加藤あきらが息子の大阪大学金融ファイナンス専攻助教と共に金融商品取引法違反容疑の疑いで東京地検特捜部により逮捕された。また、かつて「物言う株主」として名を馳せた旧村上ファンドの村上元代表は相場操縦をした疑いで、娘の投資ファンド代表と共に証券取引等監視委員会の強制捜査を受けている。加藤親子も村上親子も「親子鷹」なのかもしれない。少なくとも、辞書の説明には合致している。いや、ハイリスクハイリターンの投資をする海外の投資家や投資基金を、俗にハゲタカファンドと呼ぶから、彼らは「親子(禿)鷹」という新種なのかもしれない。

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仏の顔も三度まで

昨年の衆院選の一票格差訴訟に対し、最高裁が「違憲状態」と判断した。何と最高裁の違憲状態判決は3回連続に達した。最高裁は参院選でも直近の2回を「違憲状態」と判断している。格差解消に、自民は後ろ向きで野党の意見はバラバラ。議長諮問機関がアダムズ方式を検討し1.6倍に収まるとしているが、採用される可能性はない。政治家同士が検討しても妥協案は見つからないし、民間委員が提案しても採用されない状態が続いている。日本の国会議員選挙は違法状態にあるのが現実だ。日本は三権分立というが、実態は違う。司法が弱過ぎる。司法が行政と立法と同じように機能していれば、このような違憲状態が続く訳がない。そもそも「違憲状態」という言葉は何を意味するのだろうか。「違憲」とは何が違うのだろうか。「違憲状態」とは実質的に「違憲」ということだ。「状態」という言葉を付けて、司法が決断を先送りしているに過ぎない。元々選挙区割りの改正を、議員当人たちに任せている法律自体が間違っている。最高裁の判事たちは、何を悩んでいるのだろうか。まさか2.10倍はOKだが2.15倍はNGと見做すべきかとでも考えている訳ではあるまい。最高裁は「違憲で選挙は無効」と判決すべきだと思う。更に踏み込んで、国会法の誤りも指摘出来れば、一応合格レベルに達するはずだ。せめて最高裁は判決の結びに「仏の顔も三度まで」と付け足すべきだったと思う。

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お手並み拝見

米製薬大手のファイザーとアイルランドのアラガンとの合併が波紋を広げている。最近は大型のM&Aが盛んだ。先日はバドワイザーが英SABを、米デルがEMCを取り込んだ。世界経済の低成長が続きそうなので、M&Aは手っ取り速い成長戦略であるし、今なら金利も低いからなのだろう。しかし、今回のファイザー/アラガンのケースは少し変だ。ファイザーが実質的にアラガンを買収するのに、事業主体はアラガンになり、本社はアラガンのアイルランドに置くという。そしてCEOはファイザー、COOはアラガンとのこと。どうやらファイザーの狙いは節税にあるようだ。米国の法人税率は35%だがアイルランドは12.5%。本社をアイルランドに置くだけで年間約20億ドルの節税効果があるらしい。オバマが公約した法人税率28%の実現は未だに目途が立っていない。製薬世界1位のノバルティスが本社を置くスイスの法人税率は20%だから、米国に本社があるファイザーが世界競争を勝ち抜くためにアイルランドに移る理由も良く分かる。多くの企業が後に続くに違いない。オバマもヒラリーもファイザーを強く非難している。だが阻止は出来そうもない。今後企業の海外流出が米大統領選の争点の一つになりそうな気配だ。たとえ米国が法人税率を下げても、企業流出が減るだけで流入企業が増える訳ではない。単に法人税率を下げるだけであれば、税収が減るだけだ。さて大統領と候補者らのお手並みを拝見したいものだ。

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教育予算削減の是非

財務省が公立小中学校の教職員を今後9年間で約3万7千人減らすよう文部科学省に求めていく方針を打ち出した。少子化に合わせて人件費を削り、国の借金増に歯止めをかける狙いとのことだが、果たして方向性は正しいのだろうか。年1兆5千億円の人件費を約800億円削れるという。少子化に合わせ教職員数を減らす理由は良く理解出来る。だが、単に比例的に減らして現状を維持するだけで良いのだろうか。経済協力開発機構OECDが各国のGDPに占める学校などの教育機関への公的支出の割合を公表した。それによると、日本は3.5%で32か国中の最下位。OECD平均は4.7%で、1位のノルウェーは6.5%で日本のほぼ2倍だ。国公立中の1学級当たりの生徒数は、OECD平均24人に対し日本は32人。また教員給与はOECDが増加傾向なのに、日本はこの13年間に6%も減ったと指摘している。要するに日本は国家予算で見ると、教育の後進国なのだ。教職員の質は相当ばらついている。再教育や認定制度の導入により、質の向上を図ることが先決だろう。一方、優秀な人材を教育界に呼び込む努力も必要だ。今こそ馳文科相の腕の見せ所だ。

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絶壁とラッキョ

幸福と感じる人ほど、右脳の楔前部(けつぜんぶ)の体積が大きい傾向にあるとする研究結果を、京都大の研究グループが発表した。楔前部は大脳の一部でつむじの両側の下にある。これまで感情が揺らぐと楔前部が活動することは知られていたが、幸福感と楔前部の大きさに関係があることが分かったのは初めてらしい。今後研究が進めば、うつ病など精神・神経疾患の有効な治療法の開発に役立つ可能性があるとのこと。研究の進展には期待したいが、そういう理由で楔前部をブログに取り上げた訳ではない。頭の形や大きさに興味があったからだ。自分は人並み以上に頭がでかく形も歪だ。子供の頃のあだ名は、絶壁とラッキョ。後頭部がまっ平だから絶壁、頭が大きく顎が細いのでラッキョ。いつも絶壁、ラッキョとからかわれ泣かされたものだ。親戚の叔父さんからは「○○ちゃんは子供の頃頭が大き過ぎて重いので頭が傾いた方に歩いているようだった」とも言われたことがある。頭が大きいと顔もデカくなる。顔が大きく目鼻立ちも目立つので、大人になってから歌舞伎役者みたいと言われたこともある。全てが頭がデカい事の為せる業なのだ。そして楔前部の記事。大きいほど幸福に感じるという。頭が大きければ楔前部も大きいに違いないと思った。そう言えば、今まで一度も自分を不幸だと思った事は無い。今も自分の周りの人を、自分も含めて全て幸福に暮らしていると思っている。この研究では、幸福だから楔前部が大きいのか、楔前部が大きいから幸福なのかは分かっていないとのこと。しかし、自分の頭は間違いなく大きい。生まれて初めて、大きい頭であることを嬉しく思った次第。

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解禁日のない就職活動

経団連の大学生就職活動ルールがフラフラして定まらず、学生たちを翻弄している。学生や大学からだけでなく企業からも不満が蠢いているようだ。昨年の選考解禁時期は4月だったが、今年は8月になり、来年は6月にするという。今年の問題点は就活期間が長くなったこと。8月に遅らした理由は、学生の勉強時間を確保するためということになっていた。だが3年生のインターンシップを入れると就活が1年間にも及ぶことになった。経団連のルールには強制力はない。経団連が8月解禁と言っても、中小企業や外資系企業は4月から選考を始める。当然学生たちは、まず中小や外資系で内定を確保した後に大企業に望むことになる。もし大企業にパスすれば、内定をキャンセルするから中小企業は混乱する。従って8月解禁は混乱と疲労を増すだけだった。では、6月がベターなのだろうか。学生の6月は、テストや教育実習がある。決してベターではない。更にグローバル化に対応出来る留学生をいつ採用するのか。元々全てを満たす解禁日など存在しないのだ。それでは何故解禁日などを設定するのだろうかと疑問が生じる。今から60年以上前に産業界と大学側で就職協定が結ばれ、選考時期の見直しが繰り返されてきて現在に至っている。解禁日の設定理由は、新卒の一括入社だ。大企業から見れば効率が良い。元を正せばそれしかない。だが就職活動とは本来もっと自由なはずだ。今は昔の高度成長期とは違う。大量の金太郎飴戦士など不要だ。今は、人材を欲しがる企業が欲しい時に所望の人材を確保するのが自然だ。解禁日など不要。そういう時代になっている。自分には経団連ルールが世の中を混乱させているだけにしか見えない。

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法人減税と消費増税

自民税制調査会が迷走している。野田が更迭されて福田に代わったものの状況は変わらない。経済の成長力強化をめざし法人減税で設備投資を促進しようとしているが、企業は設備投資に後ろ向きだ。それもその筈、中国経済の先行きは真っ暗だし、世界的にテロが頻発している。更に企業が設備投資をしようと思っても、投資に値する対象もない。減税率はこの先もっと下がるから今急ぐ必要もない。ダメ押しが今年の法人減税のやり方だ。法人減税をしたものの事業税の外形標準課税の拡大によって、減税ではなく増税になってしまった企業の方が多くなった。何をやっているのか分からない。本来海外からの投資も呼び込むことを狙っていたが、今は夢のまた夢。いや、今は既に夢にも思っていないのだろう。将来的に法人税を欧米並みに目指すことは良いとしても、当分は先送りした方が賢明だ。福田は木を見ずに森を見るべきだと思う。消費税も軽減税率で揉めている。選挙の時は、増税時に軽減税率を導入すると公約した。国民は、軽減税率とは食料品は増税しないものと理解していた。ところが今は、自民の「生鮮食品のみ」対公明の「酒を除く全ての食料品」で綱引きをしている。4千億円対1兆3千億円の攻防だ。公約は公明案なのに、自民は、それでは福祉の財源が手当てできないなどと、議論のベースを変えている。卑怯なやり方だ。今や消費増税の先送りが言われ出した。消費を高めて経済を活性化するには、食料品の消費税をゼロに戻すことこそ本道だと思う。それにしても歳出削減は何処に行ってしまったのだろうか。

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結果を見るまでもなく

何が対象でも、結果論で言えば先が分からなかった事への対処が如何にも正しいように後から言うことが出来る。しかし、結果を見なくても、明らかに戦術ミスだと言えるケースもある。昨日の国際野球大会プレミア12準決勝戦での日本敗退の原因だ。7回まで大谷投手が力投し完全試合に近い内容で韓国を圧倒していた。韓国選手は大谷に対して成す術がなかったのに、大谷をたったの85球で則本に替えてしまった。好投の大谷を替える必要性は全くなかった。もし打たれるようになったら替えれば良かった。これが第1のミス。則本は8回を150kmの剛速球で3者凡退に打ち取ったが、9回になるとチェンジアップやフォークに球種を切り替えた。この遅いボールを狙い打ちされ3連打を許した。9回も剛速球で攻めるべきだった。なにしろ韓国は則本の剛速球も打てなかったのだから。多分キャッチャーの嶋選手が弱気になり配球を替えたのだろう。監督は剛速球に戻す指示を出すべきだった。これが第2のミス。1点を返されノーアウト満塁で則本を諦め松井投手に。松井は球威はあるがコントロールは今一。押し出しの十字架を背負いながらの登板は、20歳の松井には酷な話だ。押し出しで1点を献上した。則本を諦めたのが第3のミス。松井に替わった増井投手はフォークをイ・デホに打たれ逆転された。結局8回まで剛速球で相手をねじ伏せていたのに、9回に遅い球を狙い打ちされた。剛速球ばかり見ていた韓国選手にとっては、遅い球は止まって見えたに違いない。相手を圧倒する強いチームが負けてしまう原因は、最後の最後で自らリズムを狂わせる行為をしてしまう事だ。結果を見るまでもなく、明らかに断言出来る。

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葉緑素あれこれ

すっかり秋も深まり、ナナカマドや蔦の紅葉が綺麗な時期を迎えている。落葉樹の葉っぱが黄色くなるのは、葉緑素が破壊され黄色の色素だけが残るためと言われている。葉緑素が分解され始めて離層が出来る場合は、葉っぱに栄養分と老廃物が蓄積し、それに紫外線が当たるとアントシアニンという赤色色素が生成され、綺麗なモミジになるようだ。紅葉は風流で綺麗だが、科学的なメカニズムも奥が深いようだ。葉緑素と言えば、名大の研究グループが、葉緑素を取り除き植物を透明化する試薬を開発したとのこと。植物を傷つけずに、シロイヌナズナの葉なら4日間浸せばほぼ透明になる。今までの技術では2か月もかかったというから、革新的な技術のようだ。めしべの内部の奥深くまで伸びる花粉管も一本一本をはっきり確認できたとのこと。この技術により植物の内部をありのまま観察出来るようになり、植物研究が加速しそうだ。愛でるも良し、取り去るも良し。葉緑素の奥は深い。

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猫だましの是非

もう永いこと大相撲中継を見ることはなくなったが、ニュースで面白いシーンを見た。横綱白鵬が関脇栃煌山に対して猫だましを2回も食らわせ勝利した。猫だましとは、相撲の戦術の一つ。相手力士の目の前でパチンと両手を合わせて、相手の目を瞑らせて勝負を有利に進めるための奇襲作戦だ。普通ははるかに強い相手に対する一発勝負で、嘗ては小兵の舞の海が猫だましで大男を手玉に取り相撲人気を盛り上げたものだ。だが横綱が猫だましをしたのは見たこともない。まさか白鵬がするとは思わなかった。でも、ニュースで見るとユーモラスだ。栃煌山は目を瞑り完全に術中に嵌っていた。勝ち名乗りを受けた後、白鵬は少しバツの悪そうな顔をした。北の湖理事長は「横綱にあるまじき」と苦言を呈した。しかしながら、猫だましは横綱にとって禁じ手なのだろうか。白鵬は体格にも恵まれ、それを生かして幕内優勝35回の歴代1位の大横綱だが、得意技は寄りと上手投げ。安定はしているが得意技の少なさが欠点だ。今場所の猫だましを契機に多様な技を身に付けることに挑戦してみると良いと思う。舞の海は「技のデパート」との異名をとったが、白鵬が「技の総合商社」になれば、大相撲は断然面白くなるし、白鵬自身も一皮剥けて更に成長するはずだ。今のモヤモヤも吹き飛ぶはずだ。猫だましは、白鵬に勝てば良いというものではないことを教えたが、反面技の広がる世界に導く起爆剤になるかもしれない。もっとも、白鵬に更に上を目指す気迫があればの話だが。

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マルセイエーズvs君が代

華のパリで129人が死亡する大惨事が起きた。イスラム国ISが犯行声明を出した。シリアでのIS爆撃に対する報復攻撃だと言う。フランス政府はテロに屈しない意思表明だとして、すかさずIS基地を最大規模の爆撃で報復したとのこと。同時多発テロが実況中継のようにテレビ画面に流れる。まるで映画を観ているような錯覚にも陥りそうな、現実の凄惨な状況だ。一夜明け黙とうと共にパリ市民は「我々はテロに屈しないぞ」とマルセイエーズを歌う。普段は個人主義尊重でバラバラの行動をしているフランス人が一致団結してテロに立ち向かう。何か国の強さを感じた。夕方のテレビニュースにパリの現場が映し出された。見慣れたTBSのニュースキャスターが現場で取材している。弾痕に埋まったナットを穿りだし、このように殺傷力を高めています、と報道している。他局では女性アナが、このような弾痕があります、と言っている。まるで物見遊山の野次馬にしか思えない。この人達は一体何が目的でパリまで行ったのだろうかと、情けなくなった。もし日本で同様なテロがあったら、日本人は君が代を歌うのだろうか。歌うはずがない。卒業式でも拒否する者がいるし、スポーツの国際大会でも歌わない選手が多い。日本にはマルセイエーズのように国民を一致団結させるものが無い。君が代を見直すチャンスでもある。

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多重人格の効用

時と場所と相手によって、自分の性格が変わると思った事はないだろうか。自分は前々から感じていた。この仲間と飲む時は、常にいつもの自分で大人しく控えめだが、あの仲間の場合は必ず気分がハイになり積極的な行動をとる。自分が意識して行動をしている訳ではないが、仲間次第で常にそうなる宿命にある。周りの仲間も、自分をあいつはこういう奴だという雰囲気を醸し出している所為かもしれない。ひょっとすると自分は多重人格なのかもしれないと思った事がある。だが「人は誰もが多重人格:田坂広志:光文社新書」を読んで、ホッとした。多重人格は精神の病ではないし、誰もが持っている。才能の本質は「人格」で、複数の人格を切り替えることで才能を発揮することが出来る。人格を演じることは人格を育てることだと言う。正しくは理解出来ていないとは思うが、納得した。普段でも相手次第で人格が変わる。アルコールが入ればかなり変わりカミサンからクレームが来る。このブログを書いている時も別の人格になっているのかもしれない。ブログの内容を覚えていない時がある。でも、読むと「そうだよ、その通り」と必ず納得する。多重人格だとヒキダシが多くなる。その分人生を多様に楽しめる。多重人格だからと言って、ジキルとハイドになる訳ではなさそうだ。明らかに自分の多重人格の場合は、互いに他人関係ではあるが、最も理解しあっている関係にあるようだ。

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東芝と政府のオセロゲーム

東芝の子会社ウェスチングハウスが、1600億円の損失を出していたことが判明したが、東芝は株主総会でもひたすら隠し、のれん代4000億円を減損処理させていなかった。経理上親会社が公表する義務はないようだが、企業倫理からも公表すべきものだったと思う。何しろ痩せても枯れてもコンプライアンスの東芝なのだから。そもそもの問題は歴代社長の不正会計操作から始まった。東芝の不正会計問題は、東芝が歴代3社長を提訴し総額3億円の賠償求める訴訟に段階が移った。だがその対応は、歴代3社長の重罪を賠償責任でチャラにしようとしているのが見え見えだ。東芝の罪はもっと根深いもののように見える。そもそも東芝の不正は、連続7期にも及び、水増し利益は2500億円に達している。10年ほど前に同じような粉飾決算をする会社があった。カネボウとライブドアだ。カネボウは2200億円の粉飾で上場廃止となり解散した。勿論帆足社長は有罪になった。ライブドアは53億円で上場廃止になり堀江社長が小菅刑務所に収監された記憶が生々しく蘇えって来る。カネボウとライブドアの罰を考えれば、東芝に対する罪は異常に軽過ぎると誰しも感じるはずだ。このまま放置すれば、日本にはガバナンスなど存在しないと世界から叩かれることは必定。でも、何故か政府は東芝を擁護している。しかし、証券取引等監視委員会は東芝を刑事告発することを検討しているようだ。と言う事は、東芝が黒になれば政府は白、東芝が白になれば政府は黒になる、という結果になりそうだ。まるでオセロゲームの様相を呈している。

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ダサさがクラさに

昨日の対シンガポール戦からサッカー日本代表ユニフォームのデザインが新しくなった。お馴染みのサムライブルーが濃紺に変わり、胸にブルーのグラデーションと一本の赤線。胸に12本のラインがあり、ブルーのイレブンと赤のサポーターを表現しているとのこと。パッと見は真っ黒に見える。第一印象は、ニュージーランドのラグビーかい、と思った。胸のグラデーションも控えめ過ぎて見栄えがしない。テレビ画像では、胸の赤線は殆んど分からない。サポーターの応援が萎んでしまったような印象を与える。はっきり言って地味過ぎる。それでなくても日本選手は派手なパフォーマンスが苦手なのだから、せめてユニフォームくらいはもっと派手な方が良いと思う。だが、派手なシーンもあった。試合中に清武選手が相手選手にチャージされ、ユニフォームが裂けて、背中が丸出しになり、まるで割烹着姿のようになった。こんなに弱いユニフォームなど見たこともない。でも考えようによっては、相手選手から厳しいチャージを受け難くなるメリットはあるのかもしれない。もっとも、それが常態化すれば、世界中からブーイングの嵐を浴びることは間違いないだろうが。新ユニフォームについて、敢えて褒めるとすれば、旧ユニフォームよりは断然良いことだ。旧ユニフォームは、幼稚園児の遊び着みたいで極めてダサかった。ダサさがクラさに変わっただけでも、一歩前進と言えると思う。

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懲りない民主党

最近話題にも上らなくなる程影が薄くなった民主党が、やっとニュースの片隅に載るようになった。とは言っても、相変わらず党内のゴタゴタネタだが。岡田代表は共産党との選挙協力を模索し、細野・前原は民主党解党と維新との新党結成を主張し始めた。左寄り過ぎの岡田対右寄り過ぎの細野・前原の綱引きが始まった。だがこの綱引きに勝者はいない。綱が切れて両軍とも尻餅をつき身体を痛めるだけだろう。今の執行部では参院選を戦えないという悲痛な声が聞こえて来る。そうかと言って解党してしまえば空中分解そのもの。議員にとっては、前門の虎後門の狼、進むも地獄戻るも地獄、座して死を待つしかないようだ。でも、これまでに民主が責任野党になれるチャンスは何度かあった。だが、そのチャンスを尽く自ら潰してしまったのだから救いようが無い。例えば、安保法案への対応。批判路線で「憲法違反」と声高に叫ぶだけにするか、責任路線で対案を出し議論を深めるかの選択肢はあったが、批判路線に終始した。しかも、国会周辺のデモに何と枝野幹事長自らが加わりシュプレヒコールの先頭に立った。一応曲がりなりの政治家が一介の市民活動家に転落した瞬間だ。マスコミが取り上げて、一見民主が活躍しているように見えるが、国会をほったらかしにして、パフォーマンスに走る姿は無責任そのもの。これを見て、最大票田の無党派層が最早これまでと民主に見切りをつけてしまった。無党派層が支持しない野党など何の役にも立たない。野党は対案を示してこそ野党の価値があるが、民主に対案は無い。どうやら店仕舞いの潮時のようだ。

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強か同士の協力

「上海の企業が星野リゾートトマムを183億円で買収」という記事が目に留まった。星野リゾートと言えば、今や日本のトップクラスのリゾートホテル経営で有名だ。軽井沢から始まり、今では日本各地にその名を轟かしている。その星野リゾートが中国企業に買収されるという。いよいよ星野リゾートも経営に行き詰ってきたのかと思った。ところが、その記事を詳細に読むと、自分の憶測とは全く違う。記事の見出しに騙された。「星野リゾートトマム」は、星野が北海道のリゾートホテルの再生を手掛けた最初の成功例だと記憶している。だから星野が手放すなどということは一大事が生じていると早とちりしてしまった。「星野リゾートトマム」の株式は、全株を星野が持っていると思っていたが、アメリカ系ファンドが8割、星野リゾートが2割。たったの2割だったのだ。この度、中国系ファンド復星集団の傘下にある上海豫園が、全株を買収することになった。ホテル運営は引き続き星野グループが担うようだ。上海豫園の狙いは成長力。中国では、自然が豊かな北海道は特に知名度が高く、多くの中国人客が見込めると言う。中国ファンドは強かだ。資金を出して星野に任せる。これで口を出さなければ事業は成功するに違いない。一方星野も強かだ。金を掛けずに名とサービスを売ることが出来る。強か同士のwin-win関係にあるようだ。これも一つの国際協力なのかもしれない。

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ロシアのドーピング問題

ロシアのリオ五輪参加が危ぶまれている。国ぐるみの組織的なドーピングが発覚したからだ。事の発端は、独テレビでの元ロシア選手のドーピング告白。これを受け世界反ドーピング機関WADAが第三者委員会を設置し調査をしてきた。調査の結果、ロシアの陸上界で組織的なドーピングが横行していると認定し、ロシア陸連の資格を停止し、ロシア選手の大会出場を禁じる処分を国際陸上競技連盟IAAFに勧告した。モスクワでは保存が義務付けられている検体が1400件以上意図的に廃棄された。選手とコーチと関係機関がグルになって隠蔽に関わっていたようだ。更にIAAF会長は多額な賄賂を得て、事実隠しに加担していたとのこと。まさに国ぐるみ、国際陸連まみれの一大ドーピング事件のようだ。事実であればロシアのリオ参加は絶望的だ。これで飛ぶ鳥を落とす勢いのプーチン大統領は難題を二つ抱え込むことになった。一つはISによるエジプトのロシア機撃墜事件、新たに加わったのがドーピング発覚によるリオ五輪出場停止。ロシア機撃墜では幼い子供を含む200名以上のロシア人が犠牲になった。シリアにおけるIS攻撃に対するISの報復とはいえ、対処次第でプーチン非難は避けられない。でもテロとの戦いという錦の御旗があるので、何とか切り抜けることは出来るかもしれない。それに較べドーピング隠蔽事件は厄介だ。この種の事件は調べれば調べるほどウミが出て来る。かと言って、調査を阻止すれば増々疑惑が深まってしまう。もしリオ五輪不参加になればプーチン人気は一気に冷めて大統領の地位も危うくなるかもしれない。恐らくプーチンは電光石火の如く、少しでもドーピング隠蔽に関わったとみられる全ての関係者と組織を大胆に断罪し、再出発を目指すに違いない。今のプーチンにとって、リオ五輪不参加の選択肢は政治的にあり得ない。

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BPOの4勝0敗

昨年の「NHKクローズアップ現代のヤラセ問題」について、放送倫理・番組向上機構BPOが意見書を発表した。指摘意見は、(1)NHKに重大な放送倫理違反があったこと、(2)高市総務相は厳重注意したことを放送法の規定(報道は事実をまげない)を根拠にしているが、この規定は放送業者が自らを律する倫理規範であるから、この規定をもとに介入することは許されないこと、(3)NHKが自主的に再発防止策を検討していたにもかかわらず総務相が厳重注意したことは、放送法が保障する自律を侵害すること、(4)自民党調査会がNHK幹部を呼びつけ説明させたことは政権党による圧力そのもので、あってはならないこと、の4点だ。BPOが政府や自民党の対応を批判したのは初めで、骨のある一歩踏み込んだ内容になっている。ところが、このBPOに対し高市総務相は「行政指導に法的拘束力はなく、単に要請しただけ」とお茶を濁している。菅官房長官は「指摘はあたらない」と身内の総務相を庇っている。更に谷垣幹事長は「報道の自由があるからといって、ヤラセに一切口をつぐむのが良いとは思わない」と屁理屈を捏ねた。挙げ句の果てに「今後も同様な問題が有れば幹部を呼びつける」と言い出す始末。ヤラセは良く無い事だ。誰もが非難するのは当然だ。だが、同じ非難でも権力を持つ者と持たらず者では意味合いが全く違う。ヤラセが犯罪ならば警察に任せればよい。法律の不備ならば立法すればよい。ヤラセは放送倫理の問題だ。時の権力者が、注意を無視すれば次なる力で抑え付けるぞというやり方は、間違いなく権力の乱用そのもの。政府も自民党も、その事を理解していない。それが最大の問題だ。権力の乱用は、使い始めると歯止めが無くなる。政府は既にあの戦争の反省を忘れてしまったようだ。今回BPOが指摘した4点は全てBPO側が正しい。従ってBPO対政府の対決は4勝0敗。

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カニの数え方

鳥取県で水揚げされる松葉ガニが今シーズンから「五輝星」のブランド名で売り出すことになり、初競りで何とカニ1杯に過去最高の70万円の値が付いたという。まさに北海道夕張メロンの250万円に匹敵するブランド力だ。凄いとは思ったが、何故カニを1杯と数えるかの方に興味がいった。英語ならばone、twoで済むものを、日本語だとモノによって単位が変わる。例えば、うさぎは1羽、握り寿司は1貫、たんすは1棹という具合。調べて見ると、カニは生きていると1匹と数え、生きていないと1杯と数えるとのこと。ちなみに市場では1尾と数えるようだ。何故カニを1杯と数えるかというと、昔はカニが沢山獲れて、たらいに入れて取引をしたため、1杯、2杯と数えるようになったとか。ロシアの密漁によるタラバガニの取引が出来なくなったため、タラバガニは品薄状態で高値が続いている。今は、カニと言えば高級品だ。たらい1杯のカニはどれ程の値が付くのだろうか、想像も出来ない。今の1尾のカニを1杯と数えることに、相当なギャップを感じる。今様に直せば、1尾である1杯は1匹様とでも数えた方がしっくりきそうだ。時代と共に数え方も変わるかもしれない。いや、1杯、1貫、1棹という数え方は、単に数を数えるだけでなく、同時に歴史や謂われも表している。まさに日本語の奥の深さの面白さだ。末永く大事にしたいものだと思う。

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MOZUが映画に

今日映画「劇場版MOZU」が公開されたようだ。以前からテレビ番組の「MOZU」は観ていた。暗いイメージで、あまり面白いとは思っていなかった。でも、ストーリーに意外性があり、何故か毎週観ていた。麻薬みたいなものかもしれない。そのMOZUが出世して劇場版になった。謂わば「相棒」に匹敵する地位に登りつめたのかもしれない。西島の演技は素晴らしい。でもそれは西島の演技ではないように感じる。単に西島が地で演技をしているのかもしれないとも思う。それ程役に嵌っているが、実は西島の演技の賜物らしい。西島は徹底した役作りを行うことで知られている。役作りのため、体重を15kg増やしたり、減らしたりしたこともあったようだ。まるでゴッドファーザーのロバート・デニーロを彷彿とさせる。テレビでのダルマはイラストでしか登場しなかった。テレビのダルマは誰が演じるのだろうかと興味があった。その配役次第で「MOZU」の評価は上下すると思っていたからだ。劇場版MOZUでは、ビートたけしがダルマとして登場するようだ。適役だと思う。嘗て西島を大抜擢したのがビートたけし。西島は大のビートたけしファン。ビートたけしと西島の絆が「劇場版MOZU」を大ヒットさせる予感がする。

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戦後70年目の分かれ道

翁長沖縄県知事が、辺野古埋立て取り消しに対し国交相の出した是正勧告に従わないと発表した。今後国交相が是正指示を出しても従わないと言っているので、裁判所に持ち込まれることになる。国と沖縄県知事は、何処まで行っても平行線のようだ。果たして落とし所はあるのだろうか。拗れたまま進めば互いに遺恨が残るだけだ。先月末の日経に仲井真前沖縄県知事のインタビュー記事が載っていた。コメントを要約すると「沖縄の負担を減らしてほしいという思いは県民誰しも同じ。現実的な普天間の危険を取り去ることが首長としてまずやるべき事。実現性が高く最も早く除けるのは辺野古だ。現実的なものに手を付けず反対を押し通すのは政治家ではなく、市民運動だ。知事が市民運動のリーダーシップをとるのは行政の責任を放棄したのと同じ。安全保障の問題を最終的に決めるのは政府だ」と言っている。全く仰る通りだと思う。しかし翁長は辺野古撤回に固持したままだ。そこで思う。前向きな落とし所を。翁長は、日米地位協定の抜本的改正に的を絞ったら良いのではないかと思う。日本人が抱く日米地位協定の問題点は、色々あるだろうがポイントは一つ。「日本国内の米軍基地内の事件は、優先的に米国の法律で裁く」ということだ。つまり沖縄の多くの場所も本土も治外法権になっている。戦後70年が過ぎた。今更駐留軍でもあるまい。この際、地位協定を抜本的に改正し「日本国内の事件は国内法で裁く」と政府は米国に交渉すべきだと思う。上手くいけば、翁長は「名実的な独立の父」になるかも知れない。でも、翁長は、沖縄を思っているのだろうか、はたまた日本を思っているのだろうか、それが分かれ道だ。

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女性活躍担当相という罠

夫婦別姓を認めない民法の規定が憲法違反かを問う訴訟が今日結審した。最高裁が年内にも初の憲法判断を下すことになる。民法750条は「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」と規定している。この規定は明治時代から変わず続いている。原告は「姓の変更を強制されない権利や婚姻の自由を侵害している」と主張し、国側は「どちらの姓を名乗るかは夫婦の選択に委ねられているので違憲ではない」と反論している。そもそも原告が民法750条を違憲として裁判に訴えた理由は、政治に期待しても埒があかないと諦めたからという。世界的に見ても、夫婦別姓を認めない法律があるのは日本だけだ。国連の女性差別撤廃委員会も「この規定が女性差別に当たる」として繰り返し日本に廃止を勧告している。だが、日本の政治は動かない。昨年9月に第2次安倍内閣が発足し、その時初めて「女性活躍担当相」が創設された。当時首相は「全ての女性がその生き方に自信と誇りを持ち、活躍できる社会をつくるため」のものと説明している。ところが内容は「女性を働かせる」ことしか考えていないのが現状だ。初代の有村女性活躍担当相などは、夫婦別姓に何と反対の立場をとっていた。推して知るべしだ。政府には女性の人権的地位向上など眼中にはない。開いた口が塞がらない。今後「女性活躍担当相」が女性の人権を増々貶める気配が濃厚だ。

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言うだけ番長と茶坊主

日経新聞が連日各企業の過去最高益を伝えている。企業業績は好調のようだが、一向にGDPは上昇せず景気の先行きは不透明だ。企業の内部留保は何と300兆円にも達している。この300兆円を循環させれば景気が良くなり経済成長することは間違いない。だから政府は自己資本利益率目標を導入したり、大企業に賃上げを要求したり、更に今度は設備投資の促進をしている。だが、黒田バズーカで株価が上がっただけで、賃上げは行き渡っていないし、設備投資する企業など無いのが現状だ。榊原経団連会長は、政府方針に無条件で賛成し安倍ヨイショをしているだけ。一方首相も、賃上げを、設備投資を、と言うだけで何もしない。まるで、この二人は掛け合い漫才をしているようで、観衆が笑えば仕事は上手くいったとでも思っているのだろうか。コンビ名を「言うだけ番長と茶坊主」と名付けるとぴったりする。もし本気で設備投資の拡大を望むのならば、首相は「設備投資をしてくれ」ではなく「政府が何をしたら設備投資をしてくれるのか」と民間に問うべきだと思う。政府が出来ることは、仕組みの変更と法改正による規制緩和だ。それにより規制緩和が進み民間に設備投資する活力が生まれることになる。一方榊原の仕事はヨイショではない。ゴマをすっているだけでは日本経済の足を引っ張ることになる。せめて小林経済同友会代表幹事が「新三本の矢のGDP600兆円はありえない」と批判したように、経済界のご意見番としての機能を果たすべきだと思う。更に600兆円に近付けるべき方策を提言出来れば、一応経団連会長職の落第は免れることになる。両者とも合格ラインはほど遠いようだ。

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検診の身長測定

昨日、年1回の市の定期健康診断を受けてきた。小さな異常を敢えて見つけ出す人間ドックを受けようとは思わない。病気オタクではないし、大した自覚もないのに見つけてしまえば心配が増すだけだからだ。異常があれば市の検診で分かるし間に合うはずだ。今の住所に転居してきてから、近所に馴染みの町医者が出来た。会社を辞めてから、その医者に検診も診てもらっている。その町医者はそこそこ繁盛していたが、数年前に胃ガンの手術をして以来、少しボケが始まったように見えた。すると、見る見るうちに患者が減り、いつ行ってもガラガラで、いよいよ自分も他を探そうと思っていた。そんな矢先、医者の息子に代替わりした。見たところ自分の子供と同世代だ。初めの内は、この若者がやっていけるのだろうかと訝しかった。ところが、大先生よりも患者としっかり向き合うし、最新の医学知識にも精通している。看護師はいないので、身長測定も自身でやるし、注射も上手い。特に年寄りとの接し方が抜群だ。あっという間に患者が戻り始め、今ではいつ行っても患者が溢れている。先月、朝一番で検診を受けに行ったら案の定満員なのだ。その日は諦め、後日診療時間前に検診することをお願いした。答えは二つ返事でOK。そして昨日8時45分からの検診になった。検診はスムースに終了し、若い医者に時間外の対応について感謝を述べた。だが、今回の検診には、一つだけ気に食わない所があった。身長が170.0cmなのだ。自分の今までの最高が171.5cmだったが、年を重ねるにつれ身長が短くなっていく。確か去年は170.5cmだった。ついに170cm割れ間近なのだ。つい数年前までは、身長なんて変わるものではないから、毎年測定するのは愚の骨頂と思っていた。今年はその間違いに漸く気付かされた。

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首脳たちの危ない綱渡り

日中韓首脳会談が3年半ぶりに開かれたらしい。「らしい」と言うのは、会談内容が公表されないからだ。中国と韓国は日本の歴史認識を、日本は中国の南シナ海進出を問題視し、互いに主張を繰り広げたらしい。隣国同士が3年以上も首脳会談をしなかったのだから、それが極めて異常で、久し振りとは言え会談が行われたことは一歩前進に違いない。これをきっかけに対話が進むことが望まれる。だが、今回の会談で最も懸念されることは、会談内容が公表されないことだ。公表されないという事は、主張はしたが一致点は無かったということだろう。この種の国際会議でいつも禍根を残すのは、主張したことへの同意が得られなくても、当人は主張が認められたものと解釈し後でゴタゴタを生むことだ。あと半年もすると、中国と韓国は、日本は歴史認識を変えていないと反発し、日本は韓国に解決済みの歴史認識をまた繰り返すのかと騒ぐに決まっている。数年前の尖閣諸島問題も同じだった。1972年の日中首脳会議で、周恩来が「尖閣問題は今回話したくない」と言ったことが、後日1978年、鄧小平は「尖閣に触れないことを約束した」と言い、日本は「約束したことはない」と言って闇の中だ。会談の公式文書は残っていない。残らないように話をしている。残らないから、後付で多様な解釈が可能だ。拠り所は公式文書の存在。これだけが上辺の事実として残ることになる。でも、今回の日中韓首脳会談は会談内容の公表も無いから公式な記録も存在しない。今後のやり方次第では禍根を残すことになる。日中韓首脳たちはまるでサーカスのように極めて危ない綱渡りをしているようにも見える。

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下総三山の七年祭り

習志野に住んでいた高校生の頃から、近所に二宮神社があることは知っていた。バスの終点が二宮神社だったからだ。でも一度も行ったことは無かった。その二宮神社で「下総三山の七年祭り」なるものが今日行われることをネットで知った。地方の小さな神社だと思っていたが、調べてみて驚いた。創建は西暦810年と古く、今の船橋市・千葉市・八千代市・習志野市にまたがる広域の氏子が支えていたとのこと。この地方の総本山的な位置にあり、6年毎に9つの神社の御輿がこの二宮神社に集結するという。今日は天気も良い。散歩がてらに見物に行った。神社周辺には夥しい数の出店が出ていて、人で溢れ歩くことが儘ならない程賑わっていた。久し振りに人ごみの中に入り、平塚の七夕祭りの賑わいを思い出した。神社から少し離れた所に神揃場という御輿が集まる場所がある。周囲を竹垣で囲ってあり、まるで時代劇映画に出て来る処刑場のようだ。次々に立派な御輿が入ってくる。御輿が舞うと御捻りが飛び交いムードを盛り上げる。立派な御輿が9つも登場した。担ぎ手も若く威勢が良い。紋付を着た役員らしき人もゴロゴロと多かった。非常に壮観で、まるで昔にタイムスリップしたかのような感覚を覚えた。最近は近所付き合いが疎遠になっていると言うが、決してそんなことはない。お祭りとは、地域の団結力を維持するために、先人が仕組んだ知恵なのだと思い知らされた一日であった。

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