30日 9月 2024
柏崎刈羽原発の使用済み核燃料が保管容量上限に近づき、青森県の中間貯蔵施設に搬入された。原発の敷地外で中間貯蔵されるのは国内で初めてだ。中間貯蔵施設での保管は最長50年間とされているが、搬出先となる最終処分場は未だに存在しない。世界的に見ても、最終処分場があるのはフィンランドのオンカロ処分場だけで、まだ稼働していない。米国でもドイツでも計画が頓挫している。ましてや火山列島の上にある日本に最終処分場を建設するのは不可能だ。ところが、斉藤経産相は「中間貯蔵された使用済燃料の搬出先について、次期エネルギー基本計画の中で具体化を図るべく、現在検討している」と宣わった。検討は出来ても具体化出来る訳がない。全く無責任な仕事ぶりだと思う。岸田首相が、原発再稼働に舵を切ったことは「岸田の最後っ屁」に書いたが、プルトニウムの関係で再処理工場も稼働出来ないのだ。これも全く超無責任。日本の原発は、このように出口が無くても計画は進み続けるのだ。脱原発の小泉純一郎に続く政治家はいないのだろうか。
29日 9月 2024
ゴミ焼却炉内の熱を逃がさないため断熱材にレンガが使われているが、エネルギーを98%も無駄にしているのが現状だ。レンガは、紀元前3500年に発祥したメソポタミア文明の頃から、そのすぐれた耐火性能が重宝されて建築材として使われてきたが、現代に至るまで殆ど進化していない。ところが、産総研セラミック研究グループが、98%の断熱性を備えたレンガを開発したという。技術のポイントは、熱伝導率が0.0241W/mkと圧倒的に低い空気を如何に多くレンガに取り入れるかだ。9割が空気で、残りの1割が原材料のセラミックスの断熱レンガに作製に成功したとのこと。まず高野豆腐のように、凍結後乾燥させて空気の孔を作り、焼き固める。ところが、孔は不規則に空いてしまう。そこで氷を成長させないようにして生体の凍結や再結晶を防ぐ不凍タンパク質を添加することにより、均質な孔を造ることに成功したという。こうして生まれた断熱レンガを製造する工場を現在建設中だという。これが鉄鋼業やセメント工場、窯業などの炉、あるいはゴミ焼却炉などで利用されるようになると、とてつもない違いが明らかになるはずだ。なにしろ、これまで捨てられてきたおよそ99%もの熱エネルギーが再利用できるのだ。そして二酸化炭素の削減にもなり、燃料費の削減にもつながるのだ。世界を変えるイノベーションであることは間違いない。
28日 9月 2024
いま世界中の森林で大規模伐採が行われ、急速なペースで自然が失われている。米・タイム誌の「世界で最も影響力がある100人」に選ばれた森林生態学者のスザンヌ・シマード氏が警鐘を鳴らしている。大きな木を伐採することは、地球温暖化の抑止や森林の生態系の維持に問題があると言う。大きな木は光合成量が多いので、大気中にたくさんの酸素を供給し、土壌に大量の炭素を蓄えることが出来る。森林は陸上で蓄えられている炭素の6~8割を貯留している場所で、地球の炭素循環において、非常に大きな役割を果たしている。いま世界中で行われているような大規模伐採を続けると、森林で貯留している炭素のうち最大7割が大気中に放出されるということが研究で分かってきている。つまり、木を切るだけで、地球温暖化を急激に進展させるほどの事態を生み出してしまうのだ。木質ペレットを燃料に使うバイオマス発電は、化石燃料を使うよりも二酸化炭素の発生量が少ないからエコだとして近年大きく伸びている。だが、この考えは単純で間違っている。森林は本来「炭素を貯めてくれる場所」なのに、その森林を伐採して貯める場所を無くし、更に、伐採した木を燃やし二酸化炭素を空気中に放出している。ダブルの過ちをしているのだ。更に、大きな木は森林の地下に広がる菌根菌ネットワークで全体を支配している。同時に、多様な動植物の生息地としても重要だ。大きな木を切る行為が、地球環境悪化を招くことを全世界に知らしめるべきだろう。
27日 9月 2024
「上野のパンダ(リーリーとシンシン)が高齢となり中国に帰るので観覧日は明日まで」とのニュース。このニュースのお蔭でラストチャンスを掴む人が多く詰めかけるに違いない。この手のニュースで「明日まで」と伝えるものは珍しい。殆どのニュースは「昨日○○がありました」と終わってしまったことを流すのだ。「知っていれば行ったのに」と悔やむことが多かった。そもそもニュースとは「新しい」という意味からきている。フランス語でnouvelle、ドイツ語でNeues、スペイン語でnovedades、イタリア語でnovitaなどで、みんな「新しい」という意味だから間違いない。東西南北から起きた出来事を集めることから、North、East、West、Southの頭文字を取ってNEWSとした説もあるが、俗説だ。newsはnew(=a new thing)の複数形だ。複数形だがnewsという4文字で一つの単語になっているので、単数として扱いisが使われる。複数だけど単数扱いの不可算名詞なのだ。因みに日本語では「ニュース」と発音するが、英語では「ニューズ」と発音する。ニュースは新しいものなのに、日本のニュースは過去ばかりを扱っている。パンダのお蔭で「ニュース」の不可思議さを知った次第。
26日 9月 2024
疑惑告発文書問題で県議会から不信任決議を受けた斎藤知事が漸く失職の道を選んだ。不信任の理由は、知事としての資質の欠如と組織マネジメントの稚拙さだ。かなりマスコミが吹聴し過ぎたきらいはあるが、話半分としても資質には相当問題がありそうだ。斎藤の選択肢は、議会解散、知事辞職、失職の3つがあった。不信任決議は19日だったから、1週間も逡巡していたのだ。一体何を迷っていたのだろう。斎藤自身が正しいと信じていれば、議会解散を選んだはずだ。選ばなかったのは、自身に相当負い目が有ると認識したからだろう。辞職は全面降伏を意味する。キャリアのプライドとして、この選択は有り得なかったのだろう。泥棒にも三分の理がある。自分が正しいと思うところを捨てきれなかったにちがいない。辞職の道を取れば、将来の道は全て閉ざされるとも思ったに違いない。失職して再度知事を目指すと言う。でも、再当選しても議員は替わっていない。圧倒的な当選でもない限り、再度不信任を受け辞職に追い込まれることになる。その前に、県民が知事としての資質を再評価するかの問題もある。今の勢いでは、県民はNOを突きつけるに違いない。結局、斎藤には3つの選択肢が有ったようにみえたが、選択肢など無かったのだ。それでも選ばなければならない。1週間も逡巡した理由が見えてきた。
25日 9月 2024
またまたNHKラジオ国際放送で、中国籍の男性スタッフが原稿には無い「尖閣諸島は中国の領土」を入れ込む放送事故が起きた。先月は尖閣諸島だけでなく南京大虐殺や慰安婦にも言及した放送事故について、このブログ「NHKラジオが中国人にジャックされた」に書いたばかりだ。この放送事故で、稲葉会長ら4人の役員が月額報酬50%を1カ月自主返納し、国際放送担当の傍田前理事が引責辞任した。井上副会長は原因究明の検証のトップとして指揮を執り、事前収録することになった。ところが、今回は事前収録で発覚したが、再収録が間に合わず、前日に放送したニュースを再び放送したという。結局、原因究明も再発防止対策も出来なかったのだ。そればかりではない。NHKは1週間後には引責辞任した傍田前理事を再雇用したのだ。まさに偽装辞任と言える。会長が月額報酬50%を1カ月自主返納しても屁でもないだろう。副会長は仕事も出来ない飾り物だ。引責辞任した理事を再雇用するなどもっての外。NHKは緩すぎる。役員と理事は引責辞任すべきだと思う。
24日 9月 2024
自民党総裁の選挙日が近づいている。増田俊男の「時事直言」が、歴代自民党総裁の裏面をえぐり出している。以下は「時事直言」からの抜粋。日米同盟の基本は「アメリカが日本の安全を守り、日本はアメリカの経済を守ること」である。ウォール街を代表するゴールドマン・サックスは「日本には規制と言う名のボックスに入っている五つの宝物がある。我々は日本の宝を我が物にしなくてはならない」と言い続けている。第一は郵貯・簡保の340兆円、第二はGPIF(年金積立金管理運用資金170兆円)、第三は国民金融資産中現金預金1,100兆円、第四は農協JA銀行民営化120兆円である。第一は小泉内閣の郵政民営化で目的達成、第二は安倍内閣で達成、第三は岸田内閣の「預金から投資へ」の掛け声によるNISAで達成予定。第四の農協120兆円は小泉進次郎内閣になれば農協改革で農協解体、JA銀行民営化で達成される。 第五は「日本の水」である。水道インフラの所有権は国や都道府県にあるが、水道法改正で外資が水道インフラ管理、災害時対策に参入出来るようになった。将来麻生太郎系総理が誕生したら、日本の水は外資が支配することになる。しかしながら、アメリカは日米同盟関係でアメリカの責任分野である安全保障まで日本に「救い」を求めている。さて、自民党の新総裁は誰が選任されるのだろうか。
23日 9月 2024
オードリー・タンが、今年5月にデジタル担当相を退任した。いち早く新型コロナ対策を構築し、台湾をコロナ対策先進国に押し上げた。退任後は何をするのか興味があった。現在タンは、新著「Plurality(プルラリティ)協働テクノロジーと民主主義の未来」を携えて世界各地を巡っているという。プルラリティとは、多元共生とでも訳せば良いだろうか。プルラリティはウィキペディアと同じ仕組みのオープンソース形式を採用しており、誰でも作中のアイデアを取り上げて、検証や修正、発展させることが出来る。テクノロジーを通じて文化や社会の分断に橋を架けるための協働作業とも言える。プルラリティの対立語がシンギュラリティだ。シンギュラリティとは、人間の脳と同レベルのAIが誕生する時点を表す言葉だ。AIの能力が人間を超えることとも言える。孫正義氏は、シンギュラリティは人類史上最大の革命ビッグバンであり、シンギュラリティによりすべての産業が再定義されると主張している。そうはならないと考えているのがタンのプルラリティなのだ。タンのプルラリティが広がり、真の参加型民主主義が定着する未来を期待したいものだ。
22日 9月 2024
国連総会でイスラエルにヨルダン川西岸の違法占領を止めることを求める決議が可決された。この決議に米英独など欧米主要国は反対した一方、多くの途上国や新興国は賛成にまわり、何と日本も賛成に加わったのだ。米国の言いなりの日本が、米国の反対側にまわったのは画期的な姿勢と言える。何故、日本は賛成にまわることが出来たのだろうか。日本政府はこれまで台湾問題やウクライナ侵攻について「力による一方的な現状変更の試みを認めない」と繰り返してきた。殆どの先進国も同じ主張をしている。だが、米英はイスラエルに肩入れしダブルスタンダード化している。日本政府はパレスチナを正式な国家として承認せず欧米主要国と足並みを揃えている点はあるものの、少なくとも今回の国連決議に関していえば「力でルールをねじ曲げる」立場と一線を画したのだ。最近は、米英も少しずつイスラエルと距離を置く方針が少しずつ表面化している。この流れは変わらないだろう。機を見るに敏かもしれないが、一応筋を通している。久々の日本外交のヒットと言えそうだ。
21日 9月 2024
WHO傘下の国際がん研究機関IARCは、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉の発がん性のリスクに警鐘を鳴らしている。加工肉に含まれる亜硝酸ナトリウムは、加工肉の発色や菌の増殖に効果がある反面「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と定義される分類に属している。亜硝酸ナトリウムは、体内で胃酸などと反応して、発がん性リスク物質であるニトロソアミンに変化するからだ。でも、厚労省は、ボツリヌス菌の増殖を抑えるなどの目的で亜硝酸ナトリウムの添加を義務付け、一人一日摂取量:0.284mg/人/日と定めている。以前「食べてはいけない」という本を読んだことがある。亜硝酸ナトリウムは、がん因子と断定していた。それ以来、加工肉はなるべく摂らないよう努力してきた。ところが、今回、ハム大手4社が、加工肉と亜硝酸ナトリウムの安全性について、安全との見解を表明したのだ。表明自体は画期的だと思うが、内容にはガッカリした。簡単に言えば、厚労省の摂取量を守れば、人体に無害だというもの。ああ、この業界も「親方日の丸」に守られているのかと思った。でも今や、食卓に加工肉は欠かせない。だからこそ、ハム大手4社には、真摯に科学的検証をしてほしかったと思うのだ。