31日 7月 2024
アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」が厚労省で承認された時、このブログで「殆ど効果が無いのに何故承認されたのだろう」と疑問を呈したことがある。レカネマブは、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβを取り除くという画期的な新薬と謳われた。しかし、レカネマブにはアルツハイマー病の進行を止める薬効は無く、飲み続けても悪化は止めらず若干遅らせるだけなのだ。偽薬グループにくらべて、認知機能の低下が27%抑制されるだけなのだ。世界中の研究者らは、27%というのは改善しているとの実感が得られないレベルなのだと指摘している。病気が20年ほどのスパンで進行するうちの2~3年を遅らせるだけなのだ。更に、アルツハイマー病の原因とされたアミロイドβ自体が、原因物質ではないという学説も出てきている。加えて、レカネマブは主に認知症になる前の軽度認知障害の人たちを対象としている。現在この病に苦しめられている人々の期待には応えられないのだ。更に問題なのが費用だ。米国では、事前検査なども含めると年間5万ドル(約800万円)と高額過ぎるのだ。日本でもレカネマブは保険適用となっている。殆ど効果の無いレカネマブが大量に処方されれば、社会保障の財政が圧迫されるのは目に見えている。結局、厚労省の承認ミスとしか言い様がない。即承認を取り消すべきだろうと思う。
30日 7月 2024
「新・ミスター円」と異名を取った神田財務官が7月末で退任する。それを機に卒業論文とも言うべき報告書が発表された。自身が信頼を寄せる大学教授やエコノミスト20名を集めて徹底的に日本経済の未来について語りあった通称「神田勉強会」の成果を纏めたものだという。この提言書は、いわば日本人に突き付けられた宿題とも言える。現在、日本の経常収支は黒字となっているが、海外への投資で得られる収益などの第一次所得収支のみで、貿易収支やサービス収支は赤字だ。その第一次所得収支の黒字も、国内に戻らず日本のカネが海外で循環している状態なのだ。つまり「日本から海外に大量におカネが出ていく状況」が続いているのだ。これでは円安が進む一方で、日本は貧しくなるばかり、というのが、この報告書が提示した最も大きな問題点だ。更に、日本の人口減少の問題や、新NISAの普及により日本の個人金融資産が海外に流出している問題などにも言及している。具体的な提言として、労働者の賃金を上げて日本を魅力的な労働市場とすること、持続性が見込めない低収益・低賃金企業を退出させること、人的資本に積極的な投資を行うこと、TSMCのように日本への直接投資を促進させること、などを挙げている。健全な危機感を持ちつつも、前向きに改革を実施していくことが何よりも重要だと締めくくっている。神田財務官は退任後、内閣官房参与に就任するとのこと。政治家を上手く再教育し、提言の内容を一つひとつ実現に結びつけてほしいものだと思う。
29日 7月 2024
運転免許証の更新時期を迎えた。「運転免許証更新のための講習等のお知らせ」葉書が届いた。75歳以上には認知機能検査、70歳以上には実車による高齢者講習が必須とされている。早速、認知機能検査を受けに行ってきた。問題は、16種類のイラストの記憶と今日の年月日曜日時刻。配点は、イラストの記憶が8割となっている。36点以上が「認知症のおそれ無し」と判定され、未満は「おそれがある」と判定され、後日医者による認知症診断が必要とされる。3年前の前回は98点だった。今回は点数は公開されなかった。でも、恐らく70点台だろうと思う。このとこと、急激に記憶力が衰えてきたように感じている。「認知症のおそれ無し」と判定されたものの、記憶力の低下を思い知らされた。しかし、一方でこの認知機能検査における認知症の判定方法は正しいのだろうかと疑問が湧いてきた。運転技能と記憶力には、大きな相関関係があるのだろうか。殆ど無いと思う。そもそも認知機能検査の目的は、正常に運転時の判断が出来るかにあるはずだ。現在の認知機能検査はテストのためのテストになっている。認知機能検査の大幅な見直し改正が必要だ。
28日 7月 2024
イスラエルのガザ攻撃が益々激しくなっている。ハマスを攻撃すると言いながら、病院・学校を標的にし、多くの市民が犠牲になっている。まさにイスラエルによるホロコーストだ。ネタニヤフ首相はヒットラーと化し、イスラエル軍はナチスと言える。最早イスラエルは、ナチスのホロコーストを批難出来る立場にはない。こう思っていたら、ユダヤ人の中にも自分と同じようにネタニヤフの戦争犯罪を批難するユダヤ団体があるようだ。シオニズムとは、パレスチナの土地はユダヤ人のものであり、ユダヤ人はパレスチナに国を作り暮らすべきだという政治思想で、イスラエル建国の根幹となっている。このシオニズムがパレスチナの人々を抑圧したり、殺害したりすることを正当化する政治思想となっている。ところが、このシオニズムを否定するユダヤ団体があるのだ。ユダヤ人による反シオニズムのネットワークの一つである「トーラー・ジュディイズム」は「すべてのユダヤ人がシオニストという訳ではない。イスラエルはユダヤ国家ではなく、ナチス国家だ。ネタニヤフは現代のヒトラーだ。ネタニヤフを支持することは、大量虐殺とナチスを支持することを意味するのだ」と訴えている。真面なユダヤ人がいることに、何だか少しホッとした。
27日 7月 2024
中国でメルトダウンしない原発の実証実験が成功したとのニュース。2011年の福島原発事故では緊急電源システムが失われメルトダウンしたのは記憶に新しい。現代の原発は、過剰な熱を炉心から除去するために動力を必要とする冷却機構や、緊急時には人間の介入による停止に依存しているのが実情だ。水や液体二酸化炭素が冷却材として使用されるが、これらは通常、外部電源に依存しているので、外部電源が失われると、メルトダウンは免れない。清華大学の研究論文によると、外部電源が完全に失われた場合でも、冷却システムを使用せずに受動的に冷却するメルトダウンを起こさない商業用原子力発電所を実証したとのこと。ペブルベッド炉と呼ばれている。高エネルギー密度の燃料棒ではなく、グラファイトに囲まれた少量のウランを含む低エネルギー密度のペブルを多数使用する。これにより核反応を遅くし、高温に耐えることが出来る。このエネルギー密度の低さにより、過剰な熱が全てのペブルに分散され、伝導や対流などの自然冷却プロセスで除去される。ペブルベッド型モジュール式高温ガス炉プラントで、フル出力で運転中のモジュールの電源を完全に遮断し、崩壊熱が自然に除去出来ることを確認したという。現在、原発は環境に優しいかが問われているが、メルトダウンしない原発であれば、間違いなく環境に優しいと言えそうだ。
26日 7月 2024
セミが鳴き始めた。セミの声は、夏の到来を告げる一方で、儚さを感じさせる。子どもの頃から、セミは何年間も地中で過ごし、地上に出て来ると1週間で死んでしまうと言われていたからだ。自分はもうすぐ80歳になるというのに、未だに「セミの寿命は1週間」と思っていた。ところが、この定説を覆した子どもがいた。植松さんが中学3年生の時の自由研究だ。「セミは本当に1週間で死んでしまうのか」に疑問を持ち研究を始めた。まずセミを捕獲し、セミにマジックで日付を書いて離し、しばらくしてセミを捕まえて生きているかどうかを確認するという地道な作業を繰り返した。その結果、アブラゼミ32日、ツクツクボウシ26日、クマゼミ15日目に捕獲成功。いずれも1週間どころか2週間~1カ月だったことを確認した。植松さんの自由研究はセミ一筋だ。小1では「4種類のセミの鳴く時間の違い」を調べた。小2の時はセミのオスとメスのどちらが先に成虫になるのかを調べ、小4の時には冷蔵庫に5時間入れて、仮死状態になったセミがどのくらいで目を覚ますのかを調べたのだという。植松さんは現在大学生になり、海洋生物の研究をされているという。研究には「一筋」という執念が必要だ。きっと植松さんは学者として大成するに違いない。
25日 7月 2024
パリ五輪の開会式前から始まった男子サッカーで、日本が何とパラグアイに5-0で勝利した。パラグアイと言えば、予選でブラジルを下した強豪だ。片や日本は、オーバーエイジ枠を使わず、松木選手もいない。とても勝つとは思えなかった。ところが、全選手が溌剌と動き快勝したのだ。始めよければ全て良し。日本選手の全競技での活躍が期待出来そうだ。サッカーの次の相手はマリだ。マリには前回負けているので苦戦は免れそうもない。その次はと見ると、何とイスラエルなのだ。イスラエルはガザ市民を大量に虐殺している。まさにジェノサイドをしている国だ。ロシアはウクライナ侵略で、五輪には国として参加出来ないのに、何故ジェノサイドのイスラエルは参加出来るのだろうか。明らかに五輪憲章に違反している。バッハ会長は「イスラエルとパレスチナの国内オリンピック委員会は、政治の世界とは一線を画している。両者は平和的に共存している」といい加減な事を言っている。ご都合主義としか言い様がない。もはや五輪憲章など存在しない。五輪の商業化がスポーツを汚している。
24日 7月 2024
「パレスチナ国民和解政府」の設立同意が「北京宣言」として発表された。パレスチナ和平協議の参加国は、パレスチナ主要14派閥の代表の他に、エジプト、アルジェリア、サウジアラビア、カタール、ヨルダン、シリア、レバノン、ロシア、トルコの特使が参加した。同意内容は、第一段階としてガザ地区における即時停戦、第二段階としてパレスチナ人によるパレスチナ統治と言う大原則の下に国民的合意政府(暫定政府)を樹立。最終目標はパレスチナを独立国家として国連に加盟させ、イスラエルとの「二国家並存」を実現させることにある。「北京宣言」は、グローバルサウスを含めた非米陣営の結束を固め、米一強支配から脱却し多極化へと移行することが中国の最終的な狙いだ。世界情勢を見ると、現在、パレスチナと国交を樹立していない国は48ヵ国。パレスチナと国交を樹立している国で、対露制裁をしていない国は130ヵ国(世界人口の85%)にのぼる。今やウクライナまでが北京になびき始めた。まさに、米一極化支配から多極化に移行し始めているようだ。
23日 7月 2024
PFASがミネラルウォーターからも検出されたというニュースには驚いた。今や週刊誌では、どのメーカーのミネラルウォーターが安全かを記事にする状況にある。PFASについては、このブログ「汚染に目をつぶる小池都知事PFAS」に取り上げた。それが水道水を通り越しミネラルウォーターにも及んでいるのだ。日本の飲み水規制は、世界から取り残されている状況にある。米国の環境保護EPAは、規制値を検出限界値に合わせた。西欧諸国でも米国に追随している。ところが、日本はPFOSとPFOAの合計50ナノグラムと緩めに設定しているが、その根拠は8年前の動物データなのだ。その理由が、国内データが無いためというのだから、薄ら寒い。その結果、飲み水のPFAS規制をめぐる日本の時計は8年前で止まってしまったままなのだ。1992年の「環境と開発に関するリオ宣言」は、次のように謳っている。「深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如を環境悪化を防止するための対策を延期する理由にしてはならない」と。残念ながら、日本の厚労省はリオ宣言を、読んでいないか、理解出来ないのか、いや、全く無視しているとしか言い様がない。でも残念と言うだけでは済まされない。PFASの危険性にさらされているのは、今や全国民なのだから。
22日 7月 2024
もうすぐパリ五輪が始まる。会場準備は大変なようだ。開会式は、あのセーヌ川で行なわれるという。かつて一度だけセーヌ川クルーズを楽しんだことがある。だから、あのセーヌ川かと感慨深い。でも、観ると泳ぐでは大違い。今日はトライアスロンの話。セーヌ川の大腸菌汚染は甚だしいという。過去101年間、水質汚染を理由に遊泳が禁じられてきた。そう言えば、20年ころ前に行った時も、誰一人として泳いでいる人はいなかった。当時は、そんなことは想像もつかなかった。風景が汚染を凌駕していたのだろう。でも、いざ泳ぐとなると話は別だ。セーヌ川の大腸菌は、阪神のセ・リーグ優勝時に大勢が飛び込んだ道頓堀川の4倍もあるという。そのセーヌ川をパリ市長とエスタンゲ大会組織委員会会長が、安全をアピールするため泳いだという。カイワレの菅、狂牛病の武部を思い出す。しかし、パリのセーヌ川騒動を単に批判すべきではない。東京五輪のトライアスロンの会場であったお台場の海は大腸菌で満たされていたのだから。可哀想なのはトライアスロン選手たちだ。いつの日になったら、選手は真っ当な会場で力を発揮出来るのだろうか。五輪は選手を使い捨て、というフレーズが頭の中で響いている。