31日 7月 2012
参議院本会議場での首相答弁に対し何のヤジもなく聞き入る議員に向かって、野田首相が「首相になってから初めてずっと静かに聞いてもらえた。その見事な態度に心から敬意を表します」と感謝の意を表した。昨日行われた小学生150人が参加した「子ども国会」でのことだ。子ども達は他人の意見を聞くときは静かに聞くことを教育されている。果たして現役国会議員達は何かを感じたのだろうか。国会では連日激しいヤジが飛び交うのが日常茶飯事。ヤジは新人議員の初仕事に位置付けられている。日本の国会では何故このようにヤジの応酬しかないのだろうかを考えてみた。まず質問者に論理的質問能力が欠如していて、回答者の真面な回答を引き出す質問が出来ない。引き出すことが出来ないので必然的に相手を感情で罵倒することになるから、増々質問の核心から遠ざかってしまう。一方回答する側は質問内容を聞かずに予め用意した回答メモを読むだけだから、時々質問にないことに回答する珍事も発生する。回答者は的確に回答することことよりも、如何に質問の内容をはぐらかすかが名回答と思い違いをしているから、真面な回答は望むべくもない。要するに質問者も回答者もディベート能力ゼロ。今後国会議員になろうとする者には、選挙前に小学校研修が科せられることになっても不思議ではない状況にある。
30日 7月 2012
政府は行革を増税の前提条件と言い続けてきたが、どうやらウソがバレバレだ。消費増税関連法案だけが成立し、行革関係法案は先送りされることになる。消費増税は行革と抱き合わせだから国民は増税を容認してきたが、案の定民主は国民を裏切りペテン師と化した。一方審議時間が足りないと言いながら、降って湧いたような都構想法案は与野党7会派の共同提出で成立することになる。これは既存政党の大阪維新に対する単なるおべっかに過ぎない。難しい課題を先送りする政治家には政治を行う資格はない。安易な都構想法案が自らの首を絞めることになる。次期選挙では国民の怒りが爆発し既存政党に鉄槌を下すことになることは間違いない。早く来い総選挙。
29日 7月 2012
中国の経済開発区に誘致された王子製紙の工場計画が、排水に発がん性物質が含まれていているとのことで住民の抗議デモに見舞われ、南通市政府はこのプロジェクトを永遠に停止することにしたとのこと。ウッドパルプと紙の工場と火力発電所及び汚水処理場の排水を100km離れた海に放流する計画で、反対しているのは放流先の漁民。王子製紙は日本と中国の環境基準に従って浄化処理していて、健康、環境への影響は無いと主張しているが。100kmといえば、東京の排水を熱海で放流するのと同じ。熱海の住民が反対するのは当然だろう。しかし一昔前の中国ではこのような反対などはなかった。中国人が文化的に一歩前進した証と見るべきなのかもしれないし、反対に反日思想の教育結果かもしれない。いずれにしても「中国は世界の工場」という位置付けが全くなくなってしまった決定的な実証例だろう。この歴史的な流れの中で、中国進出を図る王子製紙は頓馬な企業の一つと言えるのではないのだろうか。
28日 7月 2012
ロンドン五輪が開幕した。開会前にサッカーは男女とも先勝し幸先の良いスタートを切った。テレビでちょっと垣間見ただけなので全体像は分からないが若干違和感を覚えることがあった。まずは会場。ちゃちな作りでデザインもダサい。まるで地方巡業のサーカス小屋のように見える。閉会後取り壊すことを前提にしているのかは知らないが、五輪の精神である健全な肉体を作るためにも恒久的なスポーツ施設にした方が理にかなっていると思った。それから配色。ホッケー場は緑ではなく、青そして周りはなんとピンク。2012年五輪のロゴに合わせた色らしいが、この色がいつものスポーツを違うスポーツに変えてしまっている。今までの五輪のロゴはセンスの良いものが多かったが、ロンドンのロゴは最低だ。制作に9000万円もかけてこのロゴだからロンドン中が御冠とのこと。肯ける。イギリスの料理は不味いことで有名だが、美的センスも拙いことが証明されたようなものだ。この逆境の下でも選手たちには頑張ってほしいものだ。
27日 7月 2012
韓国の李大統領が実兄や側近の不正について国民に対し謝罪した。しかも検察の捜査結果が出る前にだ。大統領曰く「検察の捜査結果を待つのが適当ではないだろうか考えてみたが、それより先に国民に私の率直な心情を明らかにするのが今この状況で私がすることができる最小限の道理だと判断した。私の近くでこういう、真に失望に耐えないことが起きたので考えるほど悲嘆に暮れており、とても頭を上げることはできない。しかし今になって誰かを恨むこともできない。すべて私の不始末だ。どんな叱責も甘んじて受け入れる」と。一方日本では指導的立場にある政治家が政治資金絡みで秘書が捕まっても、自分は知らぬ存ぜぬを貫き通し、挙句の果ては秘書の裁量で秘書が勝手にやったことと抜かした。裁判ではどこに証拠がある、と開き直る始末。側近が立件される前に全て自分の至らなさにあると責任を表明する政治家と、証拠さえなければ立件出来ないと見定め証拠が残らないように狡賢く悪い事を承知でやる政治家の対比。まさに月とスッポンと言える。今後限りなくクロに近い政治家を「スッポン政治家」と呼ぶことにしようと思う。
26日 7月 2012
巨額の損失隠しが発覚しオタオタしているオリンパスのお見合い相手が華やかだ。500億円程度の結納金が必要だが、お相手のソニー、フジフィルムにテルモも加わった。オリンパスの売上は医療4割、情報通信2割、映像2割でデジカメは苦戦中。オリンパス側から見ると、デジカメ援助のソニーが好き、内視鏡競合のフジは嫌い、肉食系のテルモは肌に合わないという理由でソニーが本命なのだろう。傾いた会社を立て直すための即効性は、長所を伸ばし短所を切ることだからテルモがベスト。しかしテルモと組めば医療以外の撤退は明白なので踏み切れない。今のオリンパスは、将来何を糧に生きて行くかの決断が必要だ。競争激しいデジカメは売上こそあれマイナーな事業で将来性はないことを認識すべきだ。医療に特化することがオリンパスに残された道と考えるのが正道。オーバーオールで考えて、花婿か花嫁かは分からないが、フジフィルムを選ぶのがベストだと思う。理由の第一は強い事業の強化、第二は企業風土が近い、ソニーとの相乗効果はないしテルモでは社員が浮かばれない。幸か不幸か娘のいない自分には経験出来ないが、わが娘の嫁入り先を探す親の心境と全く同じようだ。オリンパスにとっても親になりきれる経営者がいればこの難題も乗り切れるに違いない。
25日 7月 2012
小沢新党が「国民の生活が第一」の看板を持って行ってしまったので、民主が党員に新しいキャッチフレーズを募集している。かつて「日本をあきらめない」や「元気な日本を復活させる」などがあったが今一で人気がなかった。ネットでは民主を皮肉ったキャッチフレーズが花盛りだ。「国民の生活が第一」をモジッた「国民の生活が台無し」や「なんちゃって与党...
24日 7月 2012
福島原発事故の政府の事故調査・検証委員会の最終報告書が出て、これで政府、国会、民間、東電の4つの全ての調査委員会の事故報告書が出揃ったが、内容はお粗末だ。全てを纏めてみると、地震による影響は不明、放射能大量放出の原因も不明で、共通した結論は「菅・政府の不適切な対処」だけだった。このレベルの内容は委員会発足前から分かっていた事実であり調査による進展は全くなかったと言える。特に政府の事故調査委員会は発足当時から問題があり、このブログでも昨年7月14日に指摘した。事故調査委員会の目的は「事故の原因究明と再発予防対策提言」を行い、原発再稼働の判断と今後のエネルギー政策を方向付けることにあった。この目的を勘案すると、政府の事故調査委員会の答案はテストであれば30点程度の赤点で落第。しかも、畑村失敗学教授は「高放射線量のため直接原子炉を調査出来なかった」と今更ながらの言い訳をし、今後の対応について「自分は関与しない、後は国が考えること」と無責任さも発揮した。イタチの最後っ屁というやつだ。結局失敗学教授は失敗を前提に調査を行い、失敗という結果を得たことになる。ああ失敗、大失敗。
23日 7月 2012
後世に残すべき遺産として、文化遺産、自然遺産、危機遺産、近代化遺産、無形遺産等々色々あるが、機械遺産なるものもあるらしい。2007年に日本機械学会設立110周年を記念して設けられた制度で、学会が機械技術の発展に貢献したとして認定した記念物とのこと。機械遺産の選定基準は、社会発展に貢献した機械であることと、現存していて実際に動かせる状態であること。貢献の尺度は当然のこととして、現役であることという点がユニークだ。今年は、ウォシュレット、リコピー、ステンレス車両、吉野山ロープウェイ、最古の動力旋盤等が選ばれたとのこと。ウォシュレットの起源は米国。医療器具として誕生したが、TOTOが輸入販売後家庭用に改良した。日本での温水便座の家庭への普及率は70%以上。自分も毎日お世話になっている。発想は外国、実用化は日本、の王道を行っている。この機械遺産を知った機会に、吉野山ロープウェイが元気なうちに一度乗ってみたいものだと思った。
22日 7月 2012
北京の「中国アフリカ協力フォーラム」で胡錦濤主席がアフリカに今後3年間で200億ドルの融資を提供すると発表した。2006年50億ドル、2009年100億ドルで今年が200億ドルだから如何に大盤振る舞いかがよく分かる。そのほか人材育成や医療援助や学術研究協力やアフリカ連合軍作りの資金提供などもあり、一見アフリカの助っ人そのものに見える。しかし現実を見ると、中国の狙いは原油、銅、ウラニウム等の資源確保にあることは明らか。それでも中国の投資が結果としてアフリカを潤すことになれば良いとは思うが、現実はかけ離れている。アフリカには中国人が中国政府発表では17万人住んでいるというが、実際は約200万人もいる。中国人の出稼ぎ集団が一か所に居住し中国村を形成し、現地のアフリカ人をこき使い労働争議が頻発している。そして富は全て中国が吸い上げる。結果として中国の投資がアフリカ諸国に富をもたらすことはない。これについて欧米は中国のアフリカ政策を「新植民地主義」と呼び批判している。欧米の主張は正しいが、かつて欧米はアフリカを植民地化した張本人なので言えた義理ではない。アフリカにとって最も信頼できるのは南米・東南アジアではないのだろうか。南米・東南アジアは欧米の植民地から脱し新興国として発展しつつある。アフリカは先輩の南米・東南アジアを見習い、南米・東南アジアは先達としてアフリカに良きサジェスチョンを与えるような関係の構築が、明日のアフリカを拓くような気がする。