最高裁の国民審査結果が意味するもの

衆院選と同時に行なわれた最高裁裁判官の国民審査の結果、全員信任されたものの不信任率10%以上の裁判官が6人中4人に達した。前回審査では最も高いものが7.8%だったから、国民の裁判官への不信は増しているとみるべきだろう。そんな折「絶望の裁判所:瀬木比呂志:講談社現代新書」が目に留まった。瀬木氏は裁判官を33年間務め、法学の権威である大学教授だ。この本の中で最高裁の実態を赤裸々に曝いている。最高裁上層部の劣化、腐敗に伴い、中間層も、疲労し、やる気を失い、あからさまな事大主義、事なかれ主義に陥っていったと言う。特にキャリアシステム出身最高裁判事の劣化が激しいという。キャリアシステムとは、司法試験に合格した若者が司法修習を経てそのまま裁判官になる官僚裁判官システムだ。それに対置するのが相当の期間弁護士等の法律家経験を積んだ者から裁判官が選任される法曹一元制度だ。キャリアシステム出身判事は、とにかく、早く、そつなく、事件を処理しさえすればそれでよい。冤罪も気にしない。それよりも権力や政治家、大企業等の意向に沿った秩序維持、社会防衛のほうが大切と考えているという。結局、裁判所の官僚化が急速に進行してしまった結果が国民審査結果に表れていると言えそうだ。

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日本人の生活が貧しくなっている

エンゲル係数が42年ぶりに28%の高水準に達したとのニュース。28%はG7で最悪の数値とのこと。家計支出に占める食料品の割合は、エンゲル係数と言われる。学校の教科書では、エンゲル係数が低くなるほど豊かだと教えられてきた。今から60年前頃は40%もあった。その数値が下がる度、豊かな方向に向かっていると実感したものだ。時系列的に見ると、エンゲル係数は1960年代から2000年にかけて直線的に下がり続け、40%が25%まで低下した。ところが、2000年を境に上昇し始め2024年には28%に達したのだ。異常気象等で数年来、生鮮食品や穀物などの品目が上がっているためだ。更に高齢化で世帯収入が増えにくくなって消費支出全体に比べて食料品の比率が高まっているのも要因だ。異常気象には抗えないし、高齢化に打つ手は無い。経済評論家の中には「生活が多様化しているので一概にエンゲル係数が高くなったからと言って、生活が貧しくなっているとは言えない」と主張する者もいる。しかし、日本人の生活が貧しくなっているのは間違いない。今こそ収入を増やす方策が求められている。

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木村吉本興業元常務が松本人志に引導

毎日新聞の記事によると、かつてミスター吉本とも呼ばれた木村政雄吉本興業元常務が松本人志に引導を渡したい訳を語っている。松本は、女性への性的行為強要を報じた週刊文春の記事に対し名誉毀損と主張して、昨年末週刊文春を相手に5億5000万円の損害賠償と謝罪広告掲載を求める裁判を起こした。ところが、今年11月になって突然訴訟を取り下げた。松本のコメントは「強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認した。参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいたのであれば、率直にお詫び申し上げる」で「証拠は無いやろ!心を痛めた女がいたのか?一応謝るポーズはとるわ」と聞こえる。判決でも和解でもなく、振り上げたこぶしを自ら下げただけの結論に、木村さんは「ほとぼりが冷めるまで長引かせたのかな。性的行為強要は事実なのかな」と憶測している。同時に「闘うなら最後まで闘うべきだった。テレビの松本は終わった。今後は見たい人だけが動画配信とか舞台で見てくださいって、新しいフェーズに入ってやっていくのがいいと思う」と引導を渡した。更に、松本には助言出来る先輩がいなかったのが敗因と述べているのが印象的だ。

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一縷の望み

石破首相がトランプに大統領選勝利の祝福の電話をした。しかし、たった5分で一方的に切られてしまったとのこと。尹韓国大統領は北朝鮮問題など具体的な内容で12分話したが、石破は「日米同盟をより高い次元・段階に引き上げたい」という抽象論だけだったのだから、一方的に切られたのも肯ける。石破は、安倍の政敵であったし、長期政権が期待出来ないし、米国が賛同しないアジア版NATOを提唱しているので、トランプへの取っ掛かりが無い。石破は高校時代にゴルフ部だったとのことだが、ゴルフは気の合った者同士でするスポーツだから、安倍のようなゴルフは望めない。現代ビジネスの記事によると、たった1つの望みがあるという。石破はキリスト教徒だ。しかも、トランプと同じプロテスタントの長老派の信者とのこと。「キリスト教の国」アメリカでは、ゴルフよりも宗教、とりわけキリスト教が重要だ。果たして神は一縷の望みを叶えてくれるのだろうか。

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冤罪の検証を阻止する警察組織

東京地裁が大川原化工機の逮捕は冤罪と裁決したが、都・国側、大川原化工機側の双方が控訴し、東京高裁で審理が続いている。大川原化工機の社長ら3人は20年3月、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして、外為法違反容疑で逮捕、起訴された。しかし、東京地検は初公判4日前の21年7月30日、起訴内容に疑義が生じたとして起訴を取り消した。東京地裁は、警視庁公安部と東京地検が必要な捜査を尽くさなかったとして違法と認定したのだ。何故違法に逮捕されてしまったのかを検証することは、再発を防ぐためにも極めて重要だ。起訴取り消し後、新たに着任した警視庁公安部外事1課は、捜査の問題点を検証するアンケートを捜査員に実施した。ところが、外事情報部長が「何をやってるんだ。そんなことはやるな」と外事1課長を叱責し、アンケート集計結果を廃棄してしまったとのこと。でも、この外事情報部長は、当時警視庁公安部長だったのだ。結局、己のミスが曝かれないように権力で抹消してしまったのだ。これでは、いつまで経っても冤罪は発生する。警察官の懲罰を担当する監察が調査すべきだ。さて、監察は動き出すのだろうか。でも、動きそうもない。警察組織の上層部のやりたい放題になっているようだ。

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